FXの基礎

トレードは獲得pipsではない!?勝率と損益率を安定させてロットを上げていこう!!

 
日々チャートと向き合っていると、単発での獲得pipsばかりに目が行きがちです。しかしながら、資金を確実に増やしていくためには、トレードでの利益と損失をトータルで捉えることが必要です。

こだわるべきは獲得pipsではなく、勝率と損益率であり、この2つが安定することで自信をもってロット数を上げていくことも可能となります。

1.トレード成績は勝率と損益率・ロット数で決まる

トレードは、いくら技術を磨いても先の分からない未来に対して賭けるため、根拠に基づいた正しい売買をしたとしても負けることがあります。

会社勤めであれば、自分が提供した労働に対して報酬を受け取ることは当然です。しかしながら、トレードの世界ではその考え方は通用せず、逆に損失を受け入れなければいけないことがあるのです。

 
トレード成績は、単発での獲得pipsではなく、利益と損失をトータルに評価することが大切です。その月に数百pipsを獲って喜んでいても、次の月にその数百pipsを吹き飛ばすようなトレードをしていては、いつまで経っても資金は増えません。

逆に月の獲得pipsは少なくとも、安定してしっかりそのpipsを毎月獲ることができれば、確実に資金は増えていくことになります。

 
トレード成績は、「勝率と損益率・ロット数のかけ算」で評価することになります。

1-1.勝率と損益率の基本的な考え方と算出方法

勝率については説明の必要はないとは思いますが、例えば10回のトレードで7回勝つことができれば、勝率は70%となります。

■勝率=勝ちトレード÷売買回数

 
次に損益率ですが、別名ペイオフレシオとも呼ばれる指標で、以下の式によって算定されます。

■損益率=勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失

例えば、分かりやすい成績で算出してみると、6回のトレードの成績が+50000円(勝)・+30000(勝)・-20000(負)・+40000(勝)・-15000(負)・-25000(負)だったとすると損益率は、

{(50000+30000+40000)/3}÷{(20000+15000+25000)/3}=2.0 となりますね。

したがってこの場合は、勝率50%で損益率2.0のトレード成績となります。

 
このように損益率は、トレードの基本である損小利大の程度を表し、勝つときにはしっかりと利を伸ばし、損切りは小さく抑えるトレードを繰り返すことで改善することが可能となります。

1-2.いくら勝率が良くても資金はマイナスになる

目先の勝率・獲得pipsばかりにとらわれていては、今のトレードを正しく評価することはできません。勝率が80%のトレードをしていたとしても、資金はマイナスもしくはトントン程度ということもあるのです。

仮に、+10000円の利益を8連勝で獲れたとしても、次に-80000円の損失を出してしてはトータルではトントンです。勝率がいくら良くても、損益率が伴っていなくては資金が増えることはありません。

勝率が50%なのであれば、損益率が1.0あれば資金は基本的にはトントン(リスク許容度を抑えた場合)。勝率が30%なのであれば、資金がトントンになるためには損益率は2.3程必要になります。

この資金がトントンとなる、勝率と損益率のバランスを超えるトレードでなければ、一時的にたまたま勝てたような気分になっても、長期的には資金をどんどん減らすことになりますね。

 
今のトレードを評価するためには、目先の獲得pipsではなく、勝率と損益率のバランスを考慮し、僅かでもトントンラインを超えるトレードを安定させることができれば、資金は確実に増えていくことになります。

短期的に何百pips獲るトレーダーよりも、派手さは無くとも毎月安定した勝率と損益率を保てるトレーダーが、最後に勝つことになります。

1-3.ロット数を上げるために必要な勝率と損益率

利益を大きくするためには、元手となるロット数も重要な要素です。しかしながら、トータルで勝っていたとしても、勝ち負けの浮き沈みが激しい不安定なトレードでは、大きなロット数でトレードするにはメンタル的にも辛いものがありますよね。

今月は+500pipsであっても、次の月は-400pips。さらに翌月は+800pips獲れたけれども、その翌月は-700pips。といったように、トータルでプラスになっていたとしても、浮き沈みが激しいと今月は勝てるのかメンタル的にも不安になり、負け込み始めた月などは逆にロット数を落としてしまうかもしれません。

しかしながら、勝率と損益率をしっかり安定させることができれば、相場状況によって月の獲得pipsは違えど、このトレードを続けていれば資金は増えるという安心感から、ロット数を上げることにも抵抗を感じることが少なくなります。

勝率と損益率を改善することは、ロット数を上げるためと言っても良いのかもしれません。

1-4.10万通貨で100pipsと100万通貨で10pips

トレードのトータルの利益は、勝率と損益率・ロット数で決まり、ロット数を上げるためには勝率と損益率を安定させる必要があります。

まず取り組むべきはトレードの安定であり、短期的に大きなpipsを稼ぐことではありません。トレードさえ安定させることができれば、あとはロット数を上げるだけで手元の利益は伸ばすことが可能です。

10万通貨で100pips獲るのと、100万通貨で10pips獲るときの利益は全く同じです。どちらのトレードが容易であるかは一目瞭然ですが、それだけのロット数で勝負するためには、トレードに対する自信・安定がなければとてもメンタルがもちません。

 
手元の資金が少ない。。という方も、トレードに自信と安定があれば、あらゆる手段を使って資金をかき集めることができるのではないでしょうか。そこまでできないと感じるのは、今のトレードに対して確信がないことが原因です。

2.勝率と損益率を同時に高めるために

勝率と損益率には相関関係があり、勝率を高めようとすると損益率が低下し、損益率を高めようとすると勝率は低下する傾向がありますよね。

少しでも利益が出れば決済したくなるのがトレーダーの本能であり、早く決済すれば勝率は上がるかもしれませんが損益率は低下してしまいます。逆に、利益を伸ばそうと耐えていると逆行し始めて、勝率を低下させてしまいます。

この勝率と損益率を高めるポイントとなるのが、損切りラインの設定です。

2-1.損益率を改善するための3つの方法

損益率を高めるためには、以下の3つの方法が考えられますね。

(1)損失を減らして利益を伸ばす

(2)損失はそのままで利益を伸ばす

(3)損失を減らして利益はそのまま

一般的にトレーダーは、上述したように利益を伸ばすことが苦手で、どうしても薄利で決済してしまいがちです。(1)ができれば最高ですが、利益を伸ばすことに関わる(1)や(2)は意外と難しいのです。にも関わらず、多くのトレーダーは(2)ばかりを追求しています。

しかしながら、(3)は今以上に利益を伸ばす必要はなく、ただ損切り幅を今より狭く設定(テクニカル的根拠をもって)することができれば良く、それだけで損益率は好転します。もっと言えば、そうした局面でのみトレードするだけで良いのです。

利幅は先の未来のことであるため、トレーダー側でコントロールすることはできませんが、損切り幅は過去のチャートから明確に決定することができ、完全にこちら側で操作することが可能です。

トレードの損益率を改善するために、まず行わなければいけないことは、現在の損切り方法を見直すことです。

 
*損切りについては、

■記事:損切りの考え方の基本のき!?美しく負けるトレードがあることを認識しよう!!

■記事:損切り貧乏を脱出したい!?どこにも書かれていない適切な損切りラインの見つけ方!!

を確認してください。

2-2.勝率を改善するための負けないトレードへの意識

勝率を上げようとすると、勝ちに行く気持ちばかりが先行してしまいがちですが、負けないトレードを意識することでチャートの景色は大きく変わります。

買いポジションを保有するのであれば、大きく上昇して伸びるのかをチャートから読み取る以上に、逆行して下落しにくいことをまず確認するという意識ですね。

節目となる水平ラインやトレンドライン・移動平均線など、レートがしっかり買い支えられたと確認できる局面でのみトレードすることで、勝率は大きく改善されることになります。

*勝ちにいくトレードから負けないトレードへの考え方については、記事:勝ちにいくより負けないトレード!?レジスタンス・サポートラインの形成を待つ意味!?を確認してください。

節目水平ラインとトレンドラインにサポートされた上昇トレンド中のチャート

3.まとめ

それほど負けている感じはしないのに、資金がなかなか増えないという方は、まずは今のトレードの勝率と損益率を確認してみてください。

勝率は上がって勝っているような感じがしていても、1回の損切り幅が大きかったり薄利撤退を繰り返していると、思っている以上に損益率が悪化しているかもしれません。週単位・月単位での勝率・損益率を、必ず確認する習慣をもつようにしてみてください。

目先の単発の獲得pipsに一喜一憂するのではなく、安定したトレードを磨くことで、自信をもってロット数を上げていくことも可能となります。