FXの基礎

FXの確定申告。損失をたっぷり出したときも申告するとお得に!?

 
FXである程度の利益が出ると、確定申告すべきか迷われると思います。

サラリーマンの方や主婦の方など、様々な立場でのケースを検証しました。

1.サラリーマン・OLの方のケース

サラリーマンの方の場合は、源泉徴収の形式で納税しているため本来であれば申告の必要はありませんが、FXにより利益が出た場合には確定申告することになります。

株式の場合には、源泉有りの特定口座に指定することで申告の必要性はなくなりますが、FXには自動納税のシステムはありません。

税率も以前までは総合課税方式で、給与所得とFXによる雑所得を合算し、その総所得に対して税率も変化していました。しかしながら、現在は申告分離課税となり税率は一律の20.315%です。

 
サラリーマンの方で確定申告が必要となるのは、以下のような方です。

【1】複数の会社から給与所得を受け取っている方
【2】年収が2000万円を超える方
【3】給与所得以外の所得が20万円を超えている方
【4】FXや株式で発生した損失を繰り越したい方

 
ほとんどの方は、年収は2000万円以下で一つの会社にお勤めだと思いますので、FXで年間20万円以上の所得がある・もしくは前年の損失を繰り越したい方が申告対象ということになります。

ここで注意したいのは、FXの収入ではなく所得が年間20万円以上なので、経費を差し引くと20万円を超えない場合は申告の必要はなくなります。

*税金の詳細は、「これだけは抑えておきたいFXの税金の基本」を参照。

2.パート主婦・フリーターの方のケース

主婦の方であっても、FXで一定の所得が発生した場合には確定申告が必要です。一昔前には、FXで数億円を稼ぎ出した主婦の脱税報道が話題となりました。現在では、数十万円の利益も監視されていますので、忘れずに申告しましょう。

また主婦の方は、パートで給与収入がある方と後述の専業主婦の方では申告に違いがあるので注意して下さい。

 
パート主婦・フリーターの方で申告が必要となるのは、以下のような方です。

【1】複数の会社から給与所得を受け取っている方
【2】年収が2000万円を超える方
【3】給与所得以外の所得が20万円を超えている方
【4】FXや株式で発生した損失を繰り越したい方

申告が必要になる基準は、給与所得があるということでサラリーマンの方と全く同じとなります。フリーターの方も同様です。

【パート主婦1】パート年収が90万円、FXでの利益が20万円

お勤めのパート先が2カ所以上でなければ、申告の必要はありません。FXによる雑所得も20万円以下なので、申告は不要です。

【パート主婦2】夫のFX所得が20万円、妻のFX所得が10万円

申告が必要になる年所得20万円の基準は、世帯ではなく個人にかかってきます。したがって、夫・妻それぞれが20万円以下の所得なので申告は不要です。

3.専業主婦・フリーランスの方のケース

専業主婦の方で確定申告が必要になるのは、以下のような場合です。

【1】年間所得が38万円を超えている方
【2】FXや株式で発生した損失を繰り越したい方

 
専業主婦やフリーランスの方には給与所得がないので、申告が必要になる収入額は38万円となっています。ただ、所得というのはFXに限らず内職や在宅ワークによる収入を含み、それらの総収入が38万円を超える場合には申告することになります。

ただし、住民税の基礎控除は33万円のため、収入が33万円を超えている場合住民税の申告は必要になるんですね。

【専業主婦1】FX収入が30万円、在宅ワーク収入が10万円

収入がFXだけであれば申告の必要はありませんが、他にも収入があって総収入が38万円を超えているため確定申告する義務が発生します。

4.個人事業主の方のケース

個人事業主の方で申告が必要になるのは、以下のような場合です。

【1】事業所得及びその他の所得が38万円を超えている方
【2】FXや株式で発生した損失を繰り越したい方

 
年間所得が38万円以下ということはほとんどないと思いますので、個人事業主の方は毎年確定申告されていると思います。

また、一定以上のFX収入が数年続くことにより事業として認められれば、事業所得として扱いさまざまな経費を計上することができます。ただ、個人事業として認められるケースは現状ほとんどなく、節税を考えるのであれば法人化を考慮する方がメリットは大きいんですね。

*法人化については、「専業トレーダーになるには法人化は避けられない」参照

【個人事業主1】事業所得年500万円、FXで300万円の損失

FX取引による損失は他の所得と通算することができず、事業所得500万円に対してはそのままの税率が課税されます。

FXと損益通算が可能なのは、商品先物や株価指数先物・CFDなどとなっています。株式などの他の雑所得とも通算できないので、注意したいですね。

5.年金受給者の方のケース

日本では現在、国民年金は65歳から受給することができます。厚生年金については特例で60歳から受給できますが、いずれは65歳から受け取ることになります。

実はFXによる高額の脱税は高齢者の方に多く、税に関する知識がなかったことに加えて、多額の資金がありリターンも大きいことが要因となっています。

 
年金受給者の方で申告が必要になるのは、以下のような場合です。

【1】年間所得が38万円を超えている方
【2】FXや株式で発生した損失を繰り越したい方

 
年金受給者の方の課税については、給与所得のない専業主婦やフリーランスの方と同等なんですね。FXを含めた所得が年38万円を超えたときに、確定申告が必要です。

公的年金については、65歳未満で年70万円・65歳以上で年120万円までは税金はかかりませんが、FXによる所得がある場合には申告が必要です。

 
また以前までは、一定額を超えた公的年金にかかる税は源泉徴収されていたため、申告により税金の過不足を調整する必要がありました。しかしながら、現在は確定申告不要制度が導入されたことにより、公的年金等の収入合計が年400万円以下の場合は申告が不要となっています。

【年金受給者1】公的年金350万円、FX所得50万円、株式損失50万円

申告が必要となります。FX所得と株式の損失は損益通算ができず、FX所得50万円に対してはそのまま課税対象となります。

6.FXの確定申告についてのまとめ

FX所得に関する確定申告と一言で言っても、トレードされている方の立場によって状況は大きく変わってきます。

上記以外の複雑な収入形態の方もいらっしゃると思いますので、よく分からない場合は税務署の方などに早めに相談されることをお勧めします。

申告漏れにより、後になって追加徴収などされることのないように、しっかり納めてしっかり稼いでいきたいですね。