テクニカル分析

トレンドの転換は明確なシグナルが出るまで継続する!?ダウ理論の基本を再確認しよう!!

 
トレンド転換は明確なシグナルが出るまで継続する、というダウ理論の中でも最もポピュラーで重要な基本法則を、改めて確認します。

いわゆる、「安値切り上げ・高値更新」し続ける限りは上昇トレンド継続、「高値切り下げ・安値更新」し続けている限りは下降トレンド継続という、トレンドフォローにおいてはかかすことのできない基本法則です。

1.ダウ理論の基本法則を再確認する

ダウ理論は6つの基本法則により構成されていますが、ここでは最も重要な「トレンド転換は明確なシグナルが出るまで継続する」という法則について、深く考察していきます。

*その他の基本法則については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

 
まずは、このダウ理論の基本法則を模式的に表現した下図を見てください。

ダウ理論による上昇トレンドと下降トレンドの成立条件模式図

ダウ理論が定義する「明確なシグナル」というのは、いわゆる高安値の切り上げ・切り下げです。

上図のように、上昇トレンドであれば「安値を切り上げながら高値を更新」し続ける限りはトレンド継続であり、下降トレンドあれば「高値を切り下げながら安値を更新」し続ける限りはトレンド継続とみなします。

逆に言えば、これが崩れたときがトレンド終了となりますね。上昇トレンドであれば「高値を切り下げた」とき、下降トレンドであれば「安値を切り上げた」ときがトレンド終了です。

ダウ理論による上昇トレンド・下降トレンドが終了する条件を示した模式図

1-1.ダウ理論の基本法則を実チャートで確認する

それでは、このダウ理論の基本法則を実際のチャートで確認してみましょう。

下図のドル円1時間足チャートを見てください。チャート内には、20期間の単純移動平均線を合わせて表示させています。

ダウ理論によるトレンド転換が確定したポイントを示したドル円1時間足チャート

上図は、下降トレンドを継続してきたレートが、図の右側の後半では、値が底を打って上昇トレンドに転じた様子を示しています。

(A)で安値を切り上げることで一旦の下降トレンドが終了し、(B)で直近高値を更新することで「安値切り上げ・高値更新」となり、トレンド転換が確定しているのが分かりますね。

図で20期間の移動平均線を表示させたのは、移動平均線の山谷を形成する高安値を追いかけることで、ダウが分かりやすくなるためです。何かの基準がなければ、ちょっとした高安値の切り上げ・切り下げもひとつのダウとしてカウントしてしまい、大局のトレンドを捉えることができません。

20期間はひとつの目安ですが、期間設定を大きくすれば、より長期の大きな波のダウを捉えていくことになります。

*移動平均線の基本については、記事:もう逆行しない!?移動平均線の見方と、思わず唸ってしまう鉄板の使い方!を確認してください。

 
それでは、もう一例見てみましょう。

上昇トレンドから下降トレンドに転じたドル円1時間足チャート

上図は、上昇トレンドを継続してきたレートが、図の右側の後半ではトレンド転換を確定させて、下落に転じた様子を示しています。

上昇トレンドの終了は高値の切り下げで確認しましたが、上図(A)では高値を切り下げる前に安値を更新していますね。この場合も、ダウ理論の上昇トレンド継続の条件である「安値切り上げ・高値更新」が崩れるため、一旦のトレンド終了とみなすことができます(高値切り下げなき安値更新)。

その後高値をしっかり切り下げて、(B)で直近安値を更新することでトレンド転換が確定します。

2.高安値を追いかけながらトレンドを確認する

高安値の切り上げ・切り下げを追いかけながら、ダウ理論によってトレンドをどのように確認していくのかをもう少し深く考えていきます。

下図の模式図を見てください。下降トレンドを築いて下げてきたレートが、底を打ってトレンド転換し、上昇トレンドに乗った局面を示しています。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
ダウ理論による高安値の切り上げ切り下げによるトレンド確認方法

(1)から下げてきたレートが、(2)で一旦安値をつけました。この(2)の安値が、何らかの過去から引ける節目ラインに支えられる、もしくはオシレーターがダイバージェンスを示したりした場合、その後トレンド転換に繋がる可能性が高くなるため注意が必要です。

*ダイバージェンスについては、記事:ダイバージェンスって何を教えてくれるの!?トレンド転換のサインじゃないんだって!!を確認してください。

 
その後(3)で新たな高値を付けましたが、前回高値を更新していないため下降トレンド継続です。

しかしながら、(4)で安値を切り上げてきたことで、一旦の下降トレンド終了となりますね。トレンドの終了であって、上昇トレンドへの転換ではないことに注意してください。(4)での安値の切り上げは、より下位足での安値切り上げ・高値更新でほぼ確定します。

その後(5)で、直近高値である(3)を更新することで「安値切り上げ・高値更新」が確定し、上昇トレンドへの転換となります。この(5)は、それまでの下げで売りポジションを保有していた投資家が、利益確定の買い注文を入れやすいポイントであり、かつ上昇トレンドへの転換で新規の買い注文も入りやすいことにも注目です。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
ダウ理論による上昇トレンドが確定した後の有効な押し目買いポイント

その後(3)→(6)で高値を更新し、(7)で再度安値をつけました。(4)から安値を切り上げていることから上昇トレンド継続で、下位足で反転を確認できる(7)’は、有効な押し目買いのエントリーポイントになりますね。

上図のように、(7)の安値が前回高値である(3)のラインに支えられ節目を形成すると、買い注文が入りやすく買い支えられるために上昇しやすくなります。

また、上図のオレンジ線のように、(7)の安値が(3)の高値を大きく下抜いた場合、次の上昇への勢いが弱まることがあり、(6)の高値を更新できない可能性が少し高まることにも注意したいですね。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
高値を切り下げ安値を更新することで下降トレンドへの転換を確認する

その後、(8)で高値を更新することで上昇トレンド継続、(9)で新たな高値をつけました。この(9)で、過去から引ける高安値ラインに上値を明確に押えられたりすると、その後の一旦のトレンド転換に繋がりやすくなるため注意が必要です。

そして(10)で、(9)の高値を更新できず切り下げてきたため、一旦の上昇トレンド終了となります。下位足で反転の確認できる(10)’は、その後下降トレンドへ転換する可能性が非常に高くなるため、(7)’などから買いポジションを保有していた場合は、一旦決済するべきポイントにもなります。

その後(11)で、直近安値を更新することでトレンド転換が確定し、下降トレンドへと向かいます。

3.ダウ理論と移動平均線を組み合わせて考える

それでは、ここまで考えてきたダウ理論の基本法則と移動平均線を組み合わせて、より詳細に値動きを追いかけていきたいと思います。

下図のドル円1時間足チャートを見てください。チャートには、短期(20期間:黒)と中期(75期間:赤)の単純移動平均線と水平ラインを合わせて表示させています。

ダウ理論と移動平均線と水平ラインを組み合わせて相場を理解する方法

上図は、下降トレンドに乗って下げてきたレートが、過去から引けるサポートラインに支えられて反転、安値を切上げることで上昇トレンドに転じた局面です。

上図の(A)で、安値の切り上げ・高値更新が確定し、上昇トレンドへの転換となりますね。

上昇トレンドへの転換ポイントとなるため、この(A)の高値ライン上には、それまでの下げで売りポジションを保有していた投資家の決済買い注文、及び新規の指値買い注文が集中しているため、(A)を抜けるとそれらの注文を巻き込んで一気に上昇しやすくなります。

 
また、ダウ理論によるトレンド転換に加えて、移動平均線や水平ラインから得られる下記の優位性により、上昇しやすい相場環境であることの根拠がいくつも重なった局面であることが分かります。

■サポートラインに下値を支えられた後、切り上げた安値もがWボトムを形成し、しっかりとした強固なラインによる買い支えが確認できる。

■上向きの中期移動平均線に、下から支えられることによる優位性及び、グランビルの法則によるその後の上昇に繋がる値動きが期待できる優位性。

 
このように、ダウ理論によるトレンド継続・転換の確認に加えて、移動平均線・水平ラインなどによって得られる優位性を合わせて考えることで、値動きをより的確に捉えることが可能となります。

*ダウ理論と移動平均線・ラインを使ったトレードについては、記事:移動平均線とダウ・ラインだけで十分!?相場をシンプルに理解するためのチャート事例!!も確認してください。

*グランビルの法則については、記事:グランビルの法則知ってる!?移動平均線をフル活用するのに絶対かかせない使い方!!を確認してください。

■ダウ理論によるトレンド転換の捉え方解説動画

4.まとめ

トレンドフォローにおいては、相場を理解する全てのベースとなるのがダウ理論です。何をもって上昇トレンド・下降トレンドと認識するのか、それをダウ理論は的確に教えてくれます。

また、移動平均線や水平ライン・トレンドラインなどと合わせて捉えることで、今買うべきなのか・売るべきなのか・待つべきなのか、損切りすべきなのか・利確すべきなのかといったことまで、明確に見えてくるんですね。