テクニカル分析

相場における優位性って!?そこでトレードするのにどれだけのエッジがある!?

 
相場で勝ち続けていくためには、優位性の高いポイント・エリアでトレードを繰り返すしかありません。感情や期待・予想といった自己本位な主観で相場に挑んでも、一時的に勝つことはあっても、何年・何十年と安定して資金を増やすことはできません。

それでは、相場における優位性とは何でしょうか。ここでは、実際のトレード事例を参考に、優位性のあるポイント・エリアというものを考えていきます。

1.移動平均線とラインを使ったトレードのおさらい

ここから先は、移動平均線と各種ラインを用いたトレードを考えていきます。まずは下記記事で、移動平均線の考え方や使い方、水平ライン・トレンドラインの基礎を確認してください。

移動平均線とダウ・ラインだけで十分!?相場をシンプルに理解するためのチャート事例!!

 
また、ここでは上記の移動平均線・ラインに加えて、オシレータの代表格であるストキャスティクスも一部利用しますので、下記記事も合わせて確認してください。

1.ストキャスティクスって必要!?買われ過ぎ売られ過ぎなんて表してません!!

2.ダイバージェンスって何を教えてくれるの!?トレンド転換のサインじゃないんだって!!

3.トレンドの継続を教えてくれる隠れたダイバージェンス!?そんなの初めて聞きました!!

2.小さな優位性の積み重なったポイント・エリア

相場における優位性(エッジ)というのは様々に存在し、実際にはそうした小さなエッジが積み重なったポイント・エリアでポジションを取ることで、勝率・利益率の高いトレードが可能となります。

ここからはひとつのチャートを参考に、そのエントリーポイントの優位性を考えていきます。

下図の1時間足チャートを見て下さい。チャートには、短期・中期(20期間・75期間)の単純移動平均線と各種ライン、ストキャスティクス(20期間)を合わせて表示させています。

売りに対して優位性の高いポイントでポジションを持ったトレード例

上図は、日足・週足レベルでしっかりとした下降トレンド継続中で、一旦の戻り目を形成するも過去から引けるレジスタンスラインに頭を押えられて、再度下落に転じた局面の1時間足チャートになります。

上図の緑◯がひとつの売りエントリーポイントになりますが、このポイントで売りポジションを持つことの優位性をひとつひとつ考えていきます。

2-1.ダウ理論による高値切り下げポイントの優位性

ダウ理論によるトレンド転換確定による優位性

下降トレンド中の一旦の戻り目形成から、レジスタンスラインに押えられて高値をしっかり切り下げることでトレンド転換が確定し、再度下落へ相場は向かいます。ダウ理論による、トレンド継続・転換の基本です。

上図紫の(1)ラインをレートが下抜けることで、高値の切り下げが確定するため、そのライン抜けである緑◯のポイントは、ダウ理論から売りに対して優位性をもつポイントになります。

*ダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

2-2.しっかりとした節目に押えられたことの優位性

レジスタンスラインに押えられたことによる売りに対する優位性を示すチャート

一旦の戻り目を形成するも、しっかりとしたレジスタンスライン(図中A)にレートが押えられ、その後の高値切り下げライン(図中B)も過去に何度も押えられ・支えられることにより、強力なレジサポラインとして機能しています。

これは、相場が一旦これより上の値で取引することを拒否したと同意であり、その後の下落に対して高い優位性をもつことになります。

*レジサポラインについては、記事:レジサポライン見逃してない??強力な抵抗線・支持線として、トレードが超ラクに!?も参考にして下さい。

2-3.水平ラインによる階層のズレポイントによる優位性

水平ラインから見える注文の集中による優位性を表したチャート

何度も押えられ・支えられ、節目(レジサポライン)として機能している水平ラインによって、相場はおおまかな階層に分けて考えることが可能です。

こうした強く意識されるライン上には、新規の指値注文に加えて損切り注文も集中しやすく、レートがラインを抜けるとそれらの注文を巻き込んで、一気に伸びやすくなります。

上図の緑◯のエントリーポイントは、節目ライン抜けで階層がひとつズレるポイントであり、その後の下落に対して優位性をもつことになります。

*相場を階層に分ける考え方については、記事:水平ライン・トレンドラインで相場を階層に分ける!?チャートの景色がガラッと変わった!!を確認してください。

*ライン上の注文の集中については、記事:逆行しないで!!一気に思惑方向に伸びるエントリーポイントが知りたい!?も確認してください。

2-4.トレンドラインに押えられている優位性

下降トレンドラインよりレートが下に位置することによる優位性を表したチャート

レジスタンスラインに押えられた下落の起点から、一旦高値を切り下げた2点目に引いたトレンドラインよりレートが下に位置している限り、相場は下落に対してひとつの優位性を有することになります(図中水色エリア)。

また、緑◯でエントリー後は、下落が加速することによりトレンドラインも引き直すことができ、その相場の下落速度に合わせた短期的な下落の優位性を見ることもできます(図中オレンジエリア)。

エントリー後、オレンジエリアをレートが上抜ければ、売りに対して短期的なひとつの優位性が失われるため、一旦決済するというトレードも可能です。

2-5.移動平均線の向き・レートとの位置関係の優位性

短期と中期の移動平均線による下落に対する優位性を表したチャート

移動平均線とは、ある特定期間における終値の平均値を結んだラインであり、相場の大局的な方向を示すと共に、特定期間における損益分岐点にもなります。

上図の緑◯のエントリーポイントでは、2本の移動平均線が共に下向きで、中期的にも短期的にも相場は下落方向であり、売りに対して優位性が高い局面であると考えることができます。

合わせて、レートが2本の移動平均線より下に位置していることから、短期・中期における損益分岐点より現在レートが下回っていることになり、下落に対してひとつのエッジを有していることも分かります。

 
上図では、下向きの中期移動平均線より下のエリアを色分けしていますが、このエリアを上抜けると中期的に下落に対してのエッジがひとつ失われるため、一旦の決済を考えても良い局面になります。

また、中期よりも短期の移動平均線の方が、下に位置していることも確認しておきたいポイントです。

2-6.グランビルの法則による優位性

グランビルの法則とエリオット波動の第3波によるエッジを表したチャート

上図を見ると、レジスタンスラインに押えられてから、(A)で下向きの中期移動平均線を下抜いた後、一旦戻して(B)でしっかり中期移動平均線で反転してから、再度大きな下落に繋がっています。

これはグランビルの法則による典型的な値動きであり、その後の下落に対して高い優位性をもつことになります。

また、(B)での中期移動平均線での反転後の下落は、エリオット波動理論による第3波にも当り、その後の大きな下落が期待できる局面にもなります。

*グランビルの法則と移動平均線の関係については、記事:グランビルの法則知ってる!?移動平均線をフル活用するのに絶対かかせない使い方!!を確認してください。

2-7.トレンド転換のチャートパターンによる優位性

ヘッドアンドショルダーズのネックライン下抜けによる下落の優位性を表したチャート

上図をもう一度よく見ると、戻り目を形成して上昇後、レジスタンスラインに押えられて高値を切り下げることで、その後の大きな下落に転じています。

上図の紫ラインで示すように、レートがトレンド転換のチャートパターンであるヘッドアンドショルダーズを形成しているのが見えます。

緑◯の売りエントリーポイントは、このヘッドアンドショルダーズのネックライン抜けに当たるポイントであり、その後の下落に対して非常に高い優位性があることが分かります。

*ヘッドアンドショルダーズについては、記事:トレンド転換のチャートパターン。ダブルトップとヘッドアンドショルダーズの正体知ってる!?を確認してください。

2-8.ストキャスのヒドゥンダイバージェンスによる優位性

ストキャスティクスによるヒドゥンダイバージェンス発生による優位性

エントリー直前の高値切り下げポイントで、チャート下部に表示させたストキャスティクスが一旦しっかり切り上げて、ヒドゥンダイバージェンスを示しています。

下降トレンド継続のひとつのサインであり、その後の下落に向けてぎゅ〜っとエネルギーを溜めている様子が分かります。エントリー時もストキャスはしっかり下向きで、相場が下落方向に向いていると考えられます。

ただし、ストキャスティクスをはじめとするオシレータはダマシが多く、それ単体ではトレードすることはできません。上述してきたような値動きから得られる優位性に、補助的に加えられるエッジと考えるようにしてください。

2-9.時間的な優位性

この売りエントリーポイントは、日本時間で午後10時頃であり、NY時間に差し掛かって非常に資金が入りやすい時間帯であると言えます。

やはり東京時間よりも、欧州勢やNY勢も参入してくる時間帯の方が資金が入りやすく、このような分かり易いトレンドが発生するときには、そちら方向に資金が入ってよりレートも伸びやすくなります。

トレードする時間帯による値動きのクセや優位性なども、考慮に入れてみてください。

3.まとめ

実チャートのエントリーポイントを使って、ひとつひとつの優位性について考えてきました。今回ご紹介したポイントが、非常に多くの優位性を持って、売りを仕掛けられる局面であったことが理解して頂けたのではないでしょうか。

実際にトレードする際には、このような小さな優位性が積み重なった局面でポジションを持つことにより、非常に勝率が高く思惑方向にしっかり伸ばすトレードが可能になります。

 
また、決済のタイミングについては、エントリーの際に考慮したこれらの優位性が、いくつか崩れてしまうポイントで行えば良いことも分かります。

ダウによるトレンド継続が崩れるポイント、トレンドラインや移動平均線を抜けてしまうポイント・ストキャスが反転してしまうポイントなど、その局面毎に色々考えることができます。その相場環境に応じて、決済も自在に行えるようになるわけです。

 
ポジションを持つ際には、今回ご紹介したような優位性がどれだけ存在するのか是非考えてみてください。相場には他にも様々な優位性があるので、自身で色々検証してみると独自のトレードスタイルも確立できると思います。