テクニカル分析

利確するタイミングが分からない!?欲と恐怖の原因は相場への無知だった!!

 
一旦含み益が発生すれば、その利益を極限にまで伸ばしたいというのはトレーダー全員の願いです。しかしながら、手放すタイミングを逃してしまい、薄利で終えてしまうことも多いのではないでしょうか。

基本的には、先の未来は確定していない以上、利確の方法に絶対的な正解はありません。しかしながら、感情に任せるのではなく、根拠をもった方法で利確することが大切です。

1.メンタルをいくら鍛えても利益は伸ばせない

一般的な書籍や投資サイトでは、利を伸ばすためにはメンタルを鍛えて、耐えられるところまでしっかり伸ばしましょう!などということが平気で書かれています。いくら祈っても耐えても、レートはこちらが思った通りには伸びてはくれません。

こちらが伸ばしたいと思っても、伸びない相場環境があることを知ってください。大切なのは、今の相場環境は更に利を伸ばしても良い局面なのか・利が乗れば早目に決済するべき局面なのかを判断することです。

 
また、トレードには欲と恐怖といった感情が常につきまとうと良く言われます。では、何故欲や恐怖が生まれてしまうのでしょうか。

それは、相場を理解できていないからです。私たちは、分からないもの・未知なものに対して恐怖や不安といった感情を抱きます。このまま今のポジションを保有していて良いのだろうか、全く先が分からず何となく利益が乗ってしまうと、このような精神状態に陥ります。

しかしながら、今の相場環境を把握し伸ばせる範囲・リスクが分かっていれば、これ以上ポジションを保有する意味がないことが明確に理解でき、もっと利益を伸ばそうという余計な欲も自然と抑えることができます。

トレードで発生する全ての感情は、相場への無理解・無知であることを知ってください。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より

2.相場環境を理解することで利確ポイントが見える

例えば、下図を見て下さい。下降トレンド中の1時間足チャートで、短期・中期・長期の移動平均線と水平ライン・トレンドラインを合わせて表示しています。

相場環境を把握して最適な利確ポイントを示したチャート

まず、上図の(A)で売りエントリーすることを考えてみます。上位足からのレジスタンスラインに押えられてから高値を切り下げ、戻り目方向のトレンドラインを下抜いてきたポイントです。

この(A)はひとつの売りエントリーポイントになりますが、直下に中期(赤)の移動平均線が上向きに走っており、グランビルの法則によって下抜けても、一旦戻してくる可能性が非常に高いことが分かります。

しかしながら、そうしたリスクを認識していれば、反転の兆しが見えたら早目に一度利確しておこうといった判断や、一旦戻すのは承知の上で、再度高値を切り下げて下落するのをしっかり待とうという判断ができます。

こうした相場環境を理解していなければ、エントリー後すぐに戻してきて慌てて感情で利確したり、やっぱり上昇か!と判断して、目先の動きにとらわれて買い注文を入れたりしてしまいます。

*グランビルの法則については、記事:グランビルの法則知ってる!?移動平均線をフル活用するのに絶対かかせない使い方!!を確認してください。

 
次は、その後しっかりとした戻り目を築いて、再度安値を更新してきた(B)のポイントでの売りエントリーを考えます。

相場環境を把握して最適な利確ポイントを示したチャート

(B)での売りエントリー前には、上図のように過去から引けるサポートラインをしっかり引いて、目標値を把握していることが大切です。こうした利確目標となるラインには、直近の高安値や上位足からのサポートライン・レジスタンスラインなどがあります。

特に相場を階層に分けることのできるような、何度も押えられたり支えられたりして明確に意識される節目ラインは、ひとつの利確目標として非常に有効に機能してくれます。

*相場を階層に分ける考え方については、記事:水平ライン・トレンドラインで相場を階層に分ける!?チャートの景色がガラッと変わった!!を確認してください。

 
(B)で売りエントリー後は、移動平均線もしっかりついてきており、事前に引いた目標となるサポートラインまでは、高値切り下げ・安値更新というダウに基づく下降トレンドが継続している限り、安心して保有することがで可能です。

事前にこうした相場環境を把握していなければ、ちょっとした戻しで利確してしまったり、どこまで伸ばせば良いのか分からずドキドキ・ハラハラしてしまうことになります。

*トレンドの継続・終焉を確認するダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

相場環境を把握して最適な利確ポイントを示したチャート

その後レートは、利確目標としていたサポートラインにまで達しました。ここで、このラインを更に下抜けることができるのか、もしくは再度サポートされて反転・上昇に転じてしまうのかが注目すべきポイントになります。

上図の場合は、目標ライン付近で長期(オレンジ)の移動平均線が上向きにしっかり走っていることから、そのまま一気に下抜ける可能性は少し低いことが分かります。

そうしたサポート要因を把握していれば、目標ラインに到達でそのまま一旦利確、もしくは安値を切り上げながら短期(青)を上抜いてくる(C)のポイント辺りで利確することができます。

最低でもサポートラインで2度3度支えられて、トレンドラインを上抜ける(D)では一旦利確しなければいけないことが、テクニカル的な根拠を持って判断できます。

3.まとめ

実際の利確のタイミングとしては、ダウが崩れるポイント・移動平均線を抜けるポイント・各種ラインを抜けるポイント・一目均衡表の雲を抜けるポイントなど、多種多様な考え方があり、その局面によって最適な方法は変わってきます。

しかしながら、最も大切なことは、更に利を伸ばして良い局面なのか・一旦利確するべき局面なのかを判断するための相場環境の理解です。

ここでは1時間足チャートだけを見て考えてきましたが、実際には更に上位足である週足から日足・4時間足といったチャートを確認し、トレードの可否・利確目標などを落とし込んでいきます。

 
トレードにおける欲や恐怖は、全て相場への無理解から生まれます。強力な節目ラインを事前に把握していれば、そのライン付近での反転リスクを考えて利確を逃すこともなく、それ以上の余計な欲も生まれないはずです。

また逆に、その節目ラインまで十分な値幅があり、しっかりとしたトレンド継続を確認・認識することができれば、悠々とテクニカル的な根拠が崩れるまでポジションを保有することが可能となります。