テクニカル分析

グランビルの法則知ってる!?移動平均線をフル活用するのに絶対かかせない使い方!!

 
移動平均線を利用したトレードで、絶対にかかすことのできないグランビルの法則。「4つの買いサイン」と「4つの売りサイン」から成る法則ですが、それだけなく値動きのクセを非常に端的に表現しています。

大局的な相場観を養うためにも、感覚的に理解できるレベルまで落とし込みたい法則ですね。

1.グランビルの法則による買いサイン・売りサイン

まずは、グラインビルの法則の基本概念となる「4つの買いサイン」と「4つの売りサイン」を確認します。実際のトレードでは、この内容だけでエントリーするのは少しリスクが高くなりますが、全ての考え方のベースとなる内容で重要です。

どこにでも記載されているような教科書的な内容ですが、移動平均線と値動きとの基本的な関係を非常によく表現しています。

*移動平均線の基本については、記事:もう逆行しない!?移動平均線の見方と、思わず唸ってしまう鉄板の使い方!を確認してください。

1-1.グランビルの法則による4つの買いサイン

下図の、移動平均線と値動きの関係を表した模式図を見てください。緑◯で示したA〜Dの4つのポイントが、グランビルの法則による買いポイントになります。

グランビルの法則による4つの買いエントリーポイントを示した模式図

 

1-1-1.【A】水平から上向きの移動平均線の上抜きポイント

移動平均線は一つの損益分岐点となるため、一旦上抜けするとそちら方向に伸びやすくなります。しかしながら、ここで注意したいのは、「水平から上抜きの移動平均線」をレートが上抜くということですね。

下向いた移動平均線を上抜けても、相場の方向性は未だ下げ方向であるため、一旦上抜けてもすぐに下げてくる可能性が非常に高くなります。非常に大切なポイントです。

合わせて上図のように、上抜く前に一旦安値を切り上げて、下落から上昇トレンドへの転換が確定しているのも、(A)が買いポイントになる重要な条件となりますね。

*トレンド転換の確認については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

 

1-1-2.【B】上昇中の移動平均線を、下抜けての反発ポイント

グランビルの法則では、レートが下抜いたらエントリーとなっていますが、実際には下抜いた後の反転を確認してからのエントリーが確実です。より下位足で、しっかりとした安値の切り上げを確認してください。

一番安全なのは、一度下抜いた後に再度移動平均線を上抜いてくるポイントになりますね。

 

1-1-3.【C】上昇中の移動平均線にタッチ・反転ポイント

移動平均線での反発ポイントでのエントリーです。しかしながら、移動平均線は各投資家がさまざまな期間設定をして利用しているインジケータです。

そのため、自分が今表示している移動平均線では反発してきたように見えても、その他多くの投資家には意識されていない可能性も高く、ダマシになる確率も非常に高い買いポイントになります。

 

1-1-4.【D】移動平均線から大きく乖離したポイント

レートは、移動平均線に対して回帰性があるため、一気の下落によって大きく乖離すると移動平均線に戻る力が働きやすくなります。

(D)は、その回帰性を利用したポイントとなりますが、どこで買いエントリーするのかが非常に難しいポイントです。(D)で買い注文を入れても、レートは更に下げる可能性も高く、下げ止まりをテクニカル的に確定させることが必須となります。

例えば、一気の下落の後に強力なサポートラインによって支えられ下げ止まり、下位足でしっかりとした安値の切り上げ等が確認できれば、(D)で買いエントリーすることも可能となります。

1-2.グランビルの法則による4つの売りサイン

下図は、グランビルの法則による4つの売りポイントを示した模式図ですが、考え方は上述の買いポイントと同じです。

グランビルの法則による4つの売りエントリーポイントを示した模式図

 

1-2-1.【a】水平から下向きの移動平均線の下抜きポイント

ここでも、移動平均線が水平から下向きであることが絶対条件です。上向いた状態の移動平均線を一旦下抜いても、すぐに上昇する可能性が高いため、売りを仕掛けるのはリスクが非常に高くなります。

ただし、そうしたリスクを把握した上で、早目早目の決済を心掛けるといった見極めができるのであれば、より下位足でのトレード等は可能となります。

 

1-2-2.【b】下降中の移動平均線を、上抜けての反発ポイント

ここもグランビルの法則では、上抜けたらエントリーとなっていますが、一旦上抜けた後の反転を確認してからのポイントの方がより確実です。

より下位足で、しっかりとした高値の切り下げを確認すると同時に、何らかのレジスタンスラインに押えられる等のテクニカル的な根拠が重なると、非常に有効な売りポイントとなります。

 

1-2-3.【c】下降中の移動平均線にタッチ・反転ポイント

先述の買いポイントと同様に、移動平均線はさまざまな期間設定によって利用されているため、自分のチャート上では反発したように見えても、他の多くの投資家には意識されない可能性も高くなります。

意識されなければ、そこから多くの売りへの資金が投入されることがないため、それだけでは思ったようにレートは下がらずダマシになる確率も高くなります。

移動平均線でのタッチ・反転に加えて、水平ラインやトレンドラインでの反転・より下位足での高値の切り下げなどが重なると、有効に働いてくれることは多いですね。

 

1-2-4.【d】移動平均線から大きく乖離したポイント

移動平均線への回帰性を利用した、大きく乖離したところでの売りエントリーです。買いポイントと同様に、強力なレジスタンスラインで押えられる等の、何らかの高止まりをテクニカル的に確認できることが重要になります。

逆張り的なトレードになることが多いため、上述の(a)〜(C)に比べてトレードの難易度・リスクは高くなります。

2.グランビルの法則で値動きを追いかける

このように、グランビルの法則は、4つの買いサインと4つの売りサインから成っており、移動平均線とレートとの関係からエントリーポイントを探る法則として知られています。

加えて、相場のクセを非常によく表現しており、グランビルの法則を応用することでその後の値動きを知ることも可能となります。

下図の、ドル/円1時間足チャートを見てください。チャートには、青の20期間移動平均線を合わせて表示させています。図中の緑◯は、レートと移動平均線が重なる局面で、グランビルの法則がどのように機能しているのかを見ていきます。

グランビルの法則を利用して値動きを追いかける

(1)の局面で、レートが移動平均線を上抜いてきましたが、移動平均線は未だやや下向きであったため、一旦下げて一度安値を試すようにタッチ・反転で再度上昇に転じています。

その後(2)で再度レートが下抜いてきますが、その時移動平均線はやや上向きなために、一旦高値を試してから反転・下落しているのが分かりますね。

(3)も同様で、下向きの移動平均線を上抜いても安定した上昇には繋がらず、一旦すぐに戻してからネックラインで反転、移動平均線が水平になってからの上抜きで一気の上昇に繋がっています。(4)も同様です。

(5)の局面でも、上向きの移動平均線を下抜いても安定した下げには繋がらず、ラインでサポートされて反転・今度は水平になってきた移動平均線を上抜けることで、一気の上昇となっています。(7)も同様ですね。

 
このように、レートが上抜ける・下抜けるといっても、移動平均線の向き・傾きが非常に重要であり、ここがグランビルの法則を値動きに応用する最大のポイントとなります。

 
それでは、上図のドル/円1時間足で、グランビルの法則からどのようなところでエントリーできたのかを考えてみます。下図を見てください。

グランビルの法則によるエントリーポイントとダウ理論との関係

例えば、上図の(3)の局面を見てください。下降してきたレートがサポートラインに支えられて上昇、そのまま下向きの移動平均線を上抜けるもグランビルの法則によりすぐに一旦下げてきています。

しかしながら、直前のネックラインに支えられて安値切り上げ、そのまま水平になった移動平均線を再度上抜けてくる赤◯は、グランビルの法則による買いポイントとなります。

 
続いて(6)の局面を見てください。上昇してきたレートが押し目を築いて一旦下げてきた後、水平ライン・トレンドラインに支えられて反転上昇、そのまま水平からやや上向きの移動平均線を上抜いてくる赤◯は、買いポイントになります。

このラインに支えられた安値は、移動平均線のひとつの山谷を形成する谷で、安値切り上げポイントになりますね。また、移動平均線を上抜く赤◯でのエントリーでも良いですが、この場合は押し目方向のトレンドラインが引けるため、実際にはライン越えでのエントリーがより確実になります。

*トレンドラインとエントリーの関係については、記事:誰も教えてくれないトレンドラインの使い方!!押し目・戻り目でエントリーし放題!?を確認してください。

 
このように、レートと移動平均線との関係であるグランビルの法則に加えて、水平ラインやトレンドライン・ダウ理論を効果的に組み合わせることで、確実性の高いエントリーポイントが自然と見えてきますね。

3.移動平均線を多重表示して値動きを追いかける

移動平均線は、さまざまな期間設定で利用されており、かつ投資家によってトレードする時間軸もさまざまです。そのため、短期・中期・長期といった移動平均線を多重に表示した中で、グランビルの法則を感覚的に捉える技術が必要になってきます。

下図はドル/円1時間足チャートで、青の短期・赤の中期・オレンジの長期の移動平均線を合わせて表示しており、各移動平均線に対してどのようにグランビルの法則が機能しているかを見ていきます。(期間設定は仮に、短期:20期間・中期:75期間・長期:200期間としています。)

少し複雑に感じますが、ゆっくり追いかけてみるとそれほど難しくはありません。値動きのクセを捉えるのに非常に重要な見方となるので、頑張ってついてきてください。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
移動平均線を多重表示した時のグランビルの法則の応用

まず(1)の局面で、上昇してきたレートが下向きの中期(赤)で反転・下落に転じ、グランビルの法則が機能していますね。そのまま(2)で短期(青)を下抜いてきますが、短期(青)は上向きだったため、一度戻して高値を試して短期(青)が下向きになってから下落しているのが分かります。

その後サポートラインに支えられて反転・上昇、(3)で短期(青)を一旦上抜きますが下向きであったために、一度下げて安値を付けてから上昇に繋がっています。

そのまま(4)で中期(赤)を上抜きますが、中期(赤)は未だ下向きであったために、グランビルの法則によってしっかり戻してきていますね。

 
その後(5)で、上向きの短期(青)を下抜いたために上昇する力が加わり、かつそのまま中期(赤)が水平からやや上向きに転じてきたことから、短期(青)・中期(赤)それぞれに対してグランビルの法則が機能して大きな上昇に繋がっています。

移動平均線を多重表示した時のグランビルの法則の応用

そのまま上昇して、(6)の局面で長期(オレンジ)を上抜いてきますが、やはり未だ下向きなために安定した上昇にはならず、長期(オレンジ)に対して大きくグランビルの法則が機能して下落に転じています。

その後の(7)の局面では、短期・中期・長期それぞれの方向がバラバラで密集しており、それぞれの移動平均線に対して様々な方向にグランビルの法則が働いてしまうために、値動きが荒く方向感が無くなっているのが分かりますね。(7)のような局面が、待ちの局面になります。

このように、短期〜長期の移動平均線とグランビルの法則を捉えることで、大局的な値動きを根拠を持って掴むことができ、利を伸ばして良い局面なのかといったリスク管理も容易になります。

 
それでは、もうひとつチャートを同じように見てみましょう。下図は、同じくドル/円1時間足チャートで、短期・中期・長期の移動平均線を合わせて表示させています。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
短期から長期の移動平均線とグランビルの法則との関係

まず、短期(青)・中期(赤)が上向きの中で上昇してきたレートが、(A)の局面で下向きの長期(オレンジ)を上抜けてきました。やはり長期(オレンジ)が下を向いているため、その後の安定した伸びには繋がらず、グランビルの法則が機能して一旦戻してきていますね。

その後(B)で、中期(赤)をそのまま下抜いてきますが、中期は上向きのために上昇しようとする力がグランビルの法則で働いてきます。かつ上図の場合は、過去に何度も高値をつけた強いラインでダブルボトムを築いて支えられ、相場がこれより下がるのを拒否している様子がはっきり分かりますね。

合わせて、この支えられたポイントは、短期(青)のひとつの山谷を形成する谷で、ダウ理論による安値切り上げポイントであることも忘れてはいけません。

 
そうこうしているうちに、長期(オレンジ)も水平からやや上向きに転じ始め、中期(赤)に対してグランビルの法則が機能して上昇。その頃には、短期(青)も上向きに転じていることから、(1)で短期(青)を上抜いてくるポイントは絶好の買いポイントとなります。

 
移動平均線の傾き・レートとの位置関係・短期〜長期に対してのグランビルの法則、ダウ理論による安値切り上げによる上昇トレンド継続・レジサポ水平ラインによる強固な支え、ダブルボトムによる上昇へのトレンド転換のチャートパターンなど、その後の上昇に対する根拠が重なり過ぎて、(1)で買いエントリーして負けるイメージが全く沸きません。

絶対に買い注文を入れなければいけないのが、(1)のポイントです。

短期から長期の移動平均線とグランビルの法則との関係

その後一旦押し目を築いて下げてきますが、短期(青)が依然しっかり上向きのために、下げてもすぐに上昇に転じやすくなります。

下げた安値が前回高値ラインに支えられ、再度上向きの短期(青)を上抜いてくる(2)のポイントは、グランビルの法則による有効な買いエントリーポイントになります。

中期(赤)・長期(オレンジ)も上向きで、下げた押し目の安値はトレンドラインにもしっかり支えられていますね。

■グランビルの法則の基本解説動画

4.まとめ

このように、移動平均線を利用して相場を理解するには、グランビルの法則の理解がかかせません。チャートを前にして、上述のような相場の大局的な値動きが、無意識レベルで感じとれるようになりたいですね。

また、グランビルの法則は単体で利用するのではなく、ダウ理論や水平ライン・トレンドライン・チャートパターンなどを組み合わせることで、精度の高いトレードを可能にしてくれます。

*チャートパターンについては、記事:トレンド転換のチャートパターン。ダブルトップとヘッドアンドショルダーズの正体知ってる!?も確認してください。