テクニカル分析

ダマシを防ぐオシレーターの使い方!?節目を叩いて反転するストキャスティクス!!

 
ストキャスティクスに代表されるオシレーターを利用する場合、基本的にはその反転をサインとしてトレードに利用します。しかしながら、オシレーターは反応が早いために、頻繁にトレーダーをダマすのが特徴です。

オシレーターのみではトレードできませんが、値動きから形成される節目ラインを意識することで、そのダマシを防ぐことが可能となります。

1.ストキャスティクスの基本的な考え方を理解する

ここから先は、ストキャスティクスの基礎を解説した下記記事の内容が前提となるので、まずは確認してください。

1.ストキャスティクスって必要!?買われ過ぎ売られ過ぎなんて表してません!!

2.ダイバージェンスって何を教えてくれるの!?トレンド転換のサインじゃないんだって!!

3.トレンドの継続を教えてくれる隠れたダイバージェンス!?そんなの初めて聞きました!!

1-1.ストキャスティクスの本質を理解する

「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」といった言葉ばかりが目立つストキャスティクスですが、このような捉え方では実際のトレードに応用することはできません。ストキャスティクスとは、現在のレートが今の方向に、どのくらい強気でいるのかを表したインジケータです。

ストキャスティクスの実際の計算式を見ると、少し難しいようにも感じられます。しかしながら、言葉で簡潔に表現すると、「設定したある特定期間の高安値に対して、今現在の終値がどの位置に相当するのか。ということを、0〜100%で表現したもの」となります。

設定した期間に相当する、ローソク足の本数から読み取れる高安値に対して、今現在のレートは相対的に強いポジションに位置しているのか・弱いポジションに位置しているのかを表現している、ただそれだけのインジケータです。

 
例えば、天井圏に張り付いたストキャスティクスであれば、買われ過ぎだから売りを仕掛けよう!と捉えるのではありません。今現在のレートは、過去のレートに比べて相対的に強いポジションにあると考えられ、それは言い換えると「トレンドが強く継続している」ということです。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より

ストキャスティクスが天井に張り付き強いトレンド継続を示したチャート

上図の赤枠エリアのように、ストキャスティクスが80%以上で買われ過ぎだから売り注文を入れていたのでは、どんどん損失が膨らんでしまうことが分かります。

表面的な買われ過ぎ・売られ過ぎといった捉え方をするのではなく、ストキャスティクスの本質的な意味を理解し、表現すること以上の意味を付加しないことが大切です。

2.長短2本のストキャスティクスでダマシを防ぐ

オシレーターをトレードに利用する場合、通常はその反転をひとつのサインとします。しかしながら、オシレーターは反応が早いために、レートの僅かな動きで簡単に上を向いたり下を向いたりしてしまいます。この反応が早過ぎるという性質のために、オシレーターだけに頼ったトレードでは頻繁にダマされることになります。

このダマシを防ぐひとつの方法が、長短2本のオシレーターを表示させて、2本が同方向を向いたときをひとつのサインと捉える考え方です。

 
下図の1時間足チャートを見て下さい。チャートには、短期(細線:20期間)と長期(太線:80期間,4時間足の20期間相当)のストキャスティクスを合わせて表示させています。

長期と短期のストキャスティクスの方向が揃って強いトレンドが発生するポイント

上図の(A)で、短期のストキャスティクスが反転し、相場が上昇に対して弱気になってきたことを示しています。しかしながら、長期のストキャスティクスがしっかりと上向きで強気であるため、レートはそのまま下げることなく、押し目を築いて再度の上昇に転じています。

同じように(B)や(C)の局面でも、短期が反転し弱気になっても、長期が天井に張り付いて強い上昇トレンド継続を示しているため、結局は押し目を築いて次の上昇へと繋がっています。

逆に(D)の局面では、短期が下落→上昇へと反転し長期と方向が揃うことで、その後のしっかりとした上昇へと繋がっています。

 
このように1本のストキャスティクスでは、反転したことで相場が弱気になってきたと判断できる局面でも、期間の異なるストキャスティクスを合わせて表示させることで、判断の誤りをある程度防ぐことが可能となります。

しかしながら、この2本のストキャスティクスでも完全にダマシを防ぐことは難しく、オシレーターだけに頼ったトレードでは、やはり勝率も利益も低くなってしまいます。

ここを更に改善させるのが値動きと組み合わせたトレードであり、押し目買いや戻り売りといったトレンドフォローの大きな武器となってくれます。

*押し目買い・戻り売りの基本については、記事:押し目買い・戻り売りがトレードの全て!?下位足でのトレンド転換がポイントに!!を確認してください。

3.節目ラインを叩いて反転するストキャスティクス

トレードにおいて最も重要視すべきは値動きであり、ストキャスティクスに代表されるオシレーターは、その補助的役割を担うという姿勢が大切です。値動きから見出されるトレードポイントで、オシレーターもサインを示していたら尚良し!というイメージです。

それではここからは、ストキャスティクスをどのように補助的に利用していくのかを考えていきます。

下図の、先ほど示した局面と同じ1時間足チャートを見てください。チャートには長短2本のストキャスティクスに加えて、20期間の単純移動平均線・水平ライン・トレンドラインを合わせて表示させています。

ストキャスティクスと節目ラインを組み合わせたトレード方法を解説したチャート

上図の緑◯(1)は、ひとつの買いエントリーポイントになります。直近の高値に支えられながら安値を切上げることで、レジサポライン(節目)を形成し、レートが1本しっかりとしたラインに支えられたのが分かりますね。かつ、過去から引けるトレンドラインにも同時に支えられることで、強力に下値を支えられたことになります。

(1)は、そうした明確な支えを得ながら安値を切上げ、押し目方向のトレンドラインを上抜けてきたポイントであり、値動きだけでも優位性の高い買いエントリーポイントになりますね。

ここで(1)のポイントでのストキャスティクスに注目してみると、長期はしっかり上向きで上昇に対して強気であり、短期は値動きから見て取れるレジサポライン(節目)を叩くように反転・上昇しているのが分かりますか。

長短2本がしっかり上向きで揃い強気であることから、ストキャスティクスから買いエントリーに対してひとつの優位性を得たことになります。(1)では、値動き・オシレーター双方から買いサインが出ることで、自信をもってエントリーすることができます。

 
このように、オシレーターを利用するトレードでは、必ず値動きによるフィルターを通すことが重要になります。長短2本を使っても、それだけでは頻繁にダマされることになるので注意してください。

*トレードにおける優位性については、記事:相場における優位性って!?そこでトレードするのにどれだけのエッジがある!?も確認してください。

 
それでは、その先の動きも見てみましょう。

ストキャスティクスと節目ラインを組み合わせたトレード方法を解説したチャート

上図の緑◯(2)も、ひとつの買いエントリーポイントになります。(1)と同様に、直近高値に支えられてレジサポライン(節目)を形成しながら、小さくダブルボトムをつけて安値切上げ、そのまま押し目方向のトレンドラインを上抜けてきたポイントです。

この(2)でもストキャスティクスに注目してみると、長期は天井に張り付きながら強い上昇トレンドを示し、短期はレジサポライン(節目)を叩くように反転・上昇に転じています。(1)とほぼ同様な局面ですが、(2)では短期がヒドゥンダイバージェンスを示し、その後の再度の上昇を示唆してくれています。

値動きだけでも十分買いエントリー可能なポイントですが、分かりやすいストキャスティクスの買いサインも加わることで、より多くの優位性をもってトレードすることが可能となります。

 
それでは次は、(1)や(2)で買いエントリー後の決済ポイントを考えていきます。

ストキャスティクスと節目ラインを組み合わせたトレード方法を解説したチャート

上図の(a)は、高値を小さく切り下げながら短期のトレンドラインを下抜いてきたポイントで、ひとつの決済ポイントになります。

ここでもストキャスティクスに注目してみると、短期がダイバージェンスを示していることから、上昇の勢いが少し弱くなってきていることが分かりますね。値動きからも決済を考えるべきポイントで、かつ短期ストキャスがダイバージェンスなので、理想的な決済ポイントにも見えます。

しかしながら、この(a)では、長期ストキャスがまだ天井に張り付いて上昇に対して強気であり、かつ直近高値の(A)ラインに支えられてレジサポライン(節目)を形成する可能性があるため、一旦決済するべきか迷うポイントでもあります。

(a)で決済してももちろん構いませんが、(A)に支えられたことでもう少しポジションを保有していたとしても、短期ストキャスが再度ダイバージェンスを示して、形成したレジサポライン(節目)である(A)を下向けてくる(b)では、一旦決済するのが良いと思います。

 
それではもう一例、簡単に見てみましょう。下図の1時間足チャートを見て下さい。

レジスタンスラインに頭を押えられたレートが、そのまま高値を切り下げて一旦の下降トレンドを形成している局面です。

ストキャスティクスと節目ラインから見える売りエントリーポイント

上図の緑◯(1)は、ひとつの売りエントリーポイントになります。レジスタンスラインにしっかり押えられてから、レジサポライン(節目)を築きながら高値を切り下げて、戻り目方向のトレンドラインを下抜け・安値を更新してきたポイントですね。

ストキャスティクスに注目すると、長期はしっかり下げており、短期はレジサポライン(節目)を叩いて反転・下降しています。値動き・オシレーター双方から、明確な売りサインが出ています。

 
その後の(a)は、ひとつの決済ポイントになります。短期ストキャスがダイバージェンスを示して、小さく安値切り上げ・短期トレンドラインを上抜け・横ばいになった移動平均線を上抜けてきたポイントです。

下落に対しての優位性が崩れるポイントが、基本的な決済ポイントの考え方です。上記のように、いくつも優位性が失われるポイントでは一旦決済し、再度下落に転じた場合は改めてエントリーポイントを探るようにします。

*ストキャスティクスをトレンドフォローへ応用する基本概念は、著書「維新流トレード術」で解説されている著者独自の概念です。

4.まとめ

ストキャスティクスをはじめとするオシレーターは、それだけではダマシが多くトレードすることはできません。しかしながら、値動きから考えるトレードに補助的に加えることで、押し目や戻り目からの反転を狙うトレンドフォローでは、強力な武器になってくれます。

投資サイトや一般書籍によくある、「買われ過ぎ・売られ過ぎのサイン」・「トレンド転換のサイン」といった捉え方では、ダマシばかりで実際のトレードでは全く使えません。

値動きだけでは掴みにくい上昇・下降に対する強弱を、分かり易く視覚化してくれるので、値動きによるトレードを強力に補完するインジケータとして使ってみてください。