2019年1月9日から10日にかけてのドル円のトレードについて、テクニカル分析に基づく相場環境の把握からトレード足への落とし込み、仕掛け・決済までを考察します。
最後に動画にて、実際の値動きを追いかけます。
1.ドル円4時間足チャート
大きな日足レベルでは下降トレンド継続中(赤)で、直近高値は抵抗ライン・トレンドラインに押えられ、日足20MA(赤)もレートを押えています。したがって、上昇してきたところは日足レベルでは戻り売りが入りやすく、レジスタンスされての反転から売られ直してもおかしくない局面です。
ただ、4時間足では安値を切り上げて上昇トレンド中(青)で、20MA(青)もレートを支えてきていることから足元からは押し目買いが入り、上値抵抗ラインを上抜けてもう一段の上昇に繋がるシナリオも考えられます。
この後、日足レベルの戻り売り勢力と4時間足レベルの押し目買い勢力のどちらが優勢になってくるのか、下位足で判断していきたい局面と考えられます。
2.ドル円1時間足チャート
上図1時間足では直近、4時間足で見えていた大きな安値切り上げポイントの中(赤)で、1時間足でも安値を切り上げ(青)ようとしている局面です。
この安値切り上げ(青)を確定させれば、同時に上値抵抗となっていた上位足レベルの下降トレンドラインも上抜けることになり、1時間足では下降トレンドライン・上昇トレンドラインに挟まれた保ち合いを上抜けてきます。
ただ、直近高値は日足レベルで一旦押えられており、次はこの抵抗ラインを上抜けて4時間足レベルの上昇トレンドを継続(赤)させられるかがポイントになります。抜け切れるのか結局押えられるのかは、この時点では誰にも分りません。
3.ドル円15分足(トレード足)チャート
そのような相場環境の中15分足では、4時間足の安値切り上げポイント(オレンジ)の中での1時間足の安値切り上げポイント(赤)で、ダブルボトム(青)を形成して支えられてきました。
直近高値をこのまま上抜ければ、1時間足での安値切り上げ(赤)も確定させ大きな保ち合いを抜けてくるため、直近高値直上に買い注文(緑)を仕込み、ダブルボトムでサポートされた直近安値直下に損切りライン(緑)を置きました。
エントリーとなれば、まずは日足レベルの抵抗ラインで押えられた前回高値を上抜けられるかですが、結局押えられて反転となれば撤退となります。
その後そのままエントリーとなりましたが、上図(15分足)のように結局抵抗ラインを上抜けられず反転・高値を明確に切り下げたため、撤退・損切りとなりました。
ただここで注目しなければいけないのは、抵抗ライン際での攻防が続きかなり時間を使ったため、この反転ポイントが上位足では大きなダブルトップに見えてきていることです。
この局面での上位足を、再度確認します。
4.売りシナリオ転換への視点の切り替え
4-1.ドル円1時間足
上図1時間足で見ると、抵抗ライン際で4時間足レベルのダブルトップ(赤)を形成し明確に上値を押えられ、その2つ目のトップ(赤)の中で1時間足で高値を切り下げてトレンド転換(青)となっています。
また、4時間足の相場環境で確認したように、日足レベルでは抵抗ライン際から戻り売りが入りやすく、明確な反転となれば売られ直してもおかしくない局面でした。
したがって、大きな日足レベルの高値切り下げポイント(オレンジ)の中で4時間足レベルのダブルトップ(赤)、その2つ目のトップの中で1時間足でのトレンド転換(青)となれば、結局日足レベルの戻り売りとして一度売られ直してくるところの節目抵抗ラインでの明確な反転となり、売っていかなければいけない局面になります。
逆に言えば、下位足のトレードで買いポジションを保有しているのであれば、上図1時間足でのトレンド転換(青)を確定させる直近安値割れでは、必ずポジションは決済・損切りしなければいけないポイントとなります。
そのような背景から、私は買いポジションは一旦解消・損切りし、同時にそのまま売りを仕掛けていきました。この直近安値割れ(青)が、買いポジション解消のロスカットラインとなるのと同時に、売りエントリーラインとなるのです。
レートを支えていた4時間足MA(赤)も、時間を使うことで勢いをなくし水平気味になっていました。
4-2.ドル円15分足
エントリー後は、まず直近安値(赤)を下抜けれるかを確認していきますが、下抜けとなれば4時間足レベルの一旦のトレンド転換(赤:ダブルトップネックライン割れ)となり、上位足から買い方の損切り・決済売り注文を巻き込んでもう一段の下げが期待できる局面に変わっていきます。
5.トレード動画
それでは、そのような見地から仕掛けた一連のトレードについて、実際のエントリーから決済までを下記の動画で確認します。
*音声が出力されますので、ご注意ください。
6.まとめ
どちらか一方の方向への偏った目線でチャートを捉えると、他方のリスク・チャンスを見逃してしまいます。常に買いと売り両面のシナリオを持ち、値動きに適切に対応して利益を積み上げていくのがトレードです。
この先上がるか下がるかを予想して、的中させるものではないのです。
また、他方のシナリオを描くことができて初めて、ロスカットラインも明確にすることができます。そのラインを抜ければ他方のシナリオが優位となり、今保持しているポジションの優位性が失われ、それ以上保持し続ける理由がなくなるからです。
今回のトレードは、ロスカットラインがそのままエントリーラインとなる良い例かと思います。
同時に、損切りは避けるべきもの・してはいけないものと考えている限り勝つことはできません。先の未来は誰にも分からない以上、優位性の高いトレードでも損切りになることは当然あり、100戦100勝で勝ち続けることはできないのです。勝ち方ではなく、負け方・リスクの捉え方にこそトレーダーとしての技量が表れます。
リスクが限定できる局面でのみ仕掛け、コツコツ適切に・丁寧に損切りしていれば、必ずドカンと大きなリワードに繋がるトレードに巡り合えます。個別のトレードでの勝敗ではなく、最終的な勝者となることがトレーダーの目指すべき方向なのです。