FXの基礎

押えておきたいFXの税金の基本のき。税務署は忘れた頃にやってくる!?

 
FXで利益が出ても、全てを自由に使えるわけではありません。

一定の利益以上には納税の義務があり、バレないと思っていると痛い目に合います。

1.どれくらいの利益で確定申告が必要になるのか

トレードを行っている方には、一般の会社員の方から自営業を営んでいる方・主婦・学生さんなど、様々な立場の方がいらっしゃると思います。それぞれの立場によって、納税義務の発生する利益額は異なります。以下にまとめてみましたので確認してみて下さい。

 
■サラリーマン,パート主婦の方 収益20万円以上で申告義務
■専業主婦・学生の方      収益38万円以上で申告義務
■個人事業主の方        収益に関わらず申告義務(年所得38万以上)

 
自営業者の方など、事業所得のある方はもちろん申告されると思いますがその他の方については、給与所得があるかどうかで分類されます。学生の方でも申告が必要になるので、注意して下さい。

1-1.前年度の収益がマイナスの場合も、忘れずに申告を

FXによる収益は雑所得扱いとなり、個人でトレードをしている場合には3年間の損失繰越しが認められています(法人売買では9年間)。これは損した人ほど、きちんと申告すればお得になる制度です。

 
(例)しっかり確定申告した場合
■3年前  収益-300万円  納税額0円
■2年前  収益+100万円 納税額0円(100-300=-200万円に課税)
■昨年  収益+100万円 納税額0円(100-200=-100万円に課税)
■今年  収益+100万円 納税額0円(100-100=0万円に課税)

損失を計上した3年前から、しっかり確定申告していたことで以後3年間収益が上がっても損失分と相殺することができます。

 
(例)損失を計上した3年前は申告しなかった場合
■3年前  収益-300万円  納税額0円
■2年前  収益+100万円 納税額20万円(100万円に課税)
■昨年  収益+100万円 納税額20万円(100万円に課税)
■今年  収益+100万円 納税額20万円(100万円に課税)

損失を計上した年に申告しなかったため、翌年からは収益額にそのまま課税されることになってしまいます。上記の例では、3年で納税額に60万円もの差が付いています。収益が上がったときはもちろん、大きな損失が出てしまった年も忘れずにしっかり申告しておきましょう。

2.税金は決済分の収益にかかる?含み益は?

毎年3月中旬が提出期限の確定申告ですが、申告する額は前年1年分の総額。

FXによる収益を考える場合、ちょっと気になるのが含み益。前年中に決済はしていなくとも、保有ポジションに含み益があるとき税金はどう処理されるのかという疑問が出てきます。これは、利用するFX会社によって扱いが異なり以下のように3パターンの会社に分けることができます。

 
■決済しない限り課税対象とならないタイプ
含み益もスワップも、決済しない限りは課税対象にならない会社です。税についてもシンプルに扱うことができるので、一番おススメです。管理人が利用しているDMM.com証券もこのタイプに属します。

 
■含み益は対象とされないが、スワップは課税対象となるタイプ
このタイプも基本的には決済しない限り課税の対象にはなりませんが、毎日振り込まれるスワップポイントについては対象となります。外貨預金としてFXを利用するトレーダーに好まれています。

 
■決済しなくとも、含み益・スワップ共に課税対象となるタイプ
値洗いというシステムを採用している会社です。税については非常に複雑になるので、あまりお勧めはできません。
 
 
このように利用する取引口座によって扱いが異なるので、今使っている口座がどのタイプに該当するのかしっかり確認しておきましょう。

3.税率はどのくらい?稼ぐほど高くなってしまうのか

FXによる収益は雑所得に分類され、現在は申告分離課税となっています。税率は一律に20.315%で、内訳は所得税15%・住民税5%にプラスして復興特別所得税が0.315%となっています。一律の税率のため、給与所得のように所得が増えれば増えるほど税率が上がるということはありません。

 
■(年間収益-必要経費)×20.315%=納税額

 
上式のように、FXにおいてもある程度の必要経費の計上が認められています。パソコン購入費や事務用品、インターネット接続費用などがあたります。

どこまでが経費として認められるかは、税務署によっても異なるので考えられるものはとりあえず漏れなく計上しておきたいですね。

3-1.税率は理解できたけど、申告分離課税ってどういうこと?

申告分離課税とは、他の所得とは合算せず単独で税額を算出し納付するもの。

 
(例)個人事業主 年間500万円の事業収益 年間500万円のFXの損失

事業主の方の手元に残る金額は500-500=0円となりますが、税金については事業収益とFX収益の損益通算をすることができず、事業収益500万円に対しては通常の税率が適用されてしまいます。

 
上記の例では、手取りは0でも税金はしっかり発生してしまうんですね。(ただし、法人化することによってこの損益通算は可能となります。)これはもちろん、給与所得に対しても同じで給与に対しては通常の税金が毎月しっかり天引きされることになります。

3-2.株式投資も行っていますが、損益通算できますか?

いいえ、できません。現在FXと、株・投資信託の収益は損益通算はできない制度となっています。

 
(例)株式で年間100万円の収益・FXで100万円の損失を計上

手元に残る金額は0円となりますが、税金面において株式での100万円の収益に対しては通常の税率で課税されてしまいます。

しかしながら、株式指数先物・商品先物・CFD・カバーワラントについては、税制改革によりFXとの損益通算が認められるようになりました。今後は、株式や投資信託との合算も認められるようになればいいですね。

4.トレード成績なんて言わなきゃバレないのでは?

少し前までは、小額の利益であればバレることもないと言われていました。しかしながら現在では、全てのFX取引業者が全顧客の取引を記録するようになり全てが税務署に提出されています。

家で一人こそこそ取引していても、中身は全て把握されています。悪質な脱税・隠蔽工作を行うと、逮捕される事例も出てきていますね。

 
また、後日利益がバレてしまった場合には、無申告課税として本来の税額よりも15〜20%上乗せされてしまいます。更に悪質な場合には40%の重加算税、延滞時には延滞税が加算されます。

 
ここで注意したいのが、税務署の職員の方も単年の無申告では動き出さず数年してから調査によく来るということ。無申告でもバレなかったと思って、ホッとしていたのも束の間。忘れた頃に調査されて、しっかり徴収されるということです。

脱税はまずできないということをしっかり肝に銘じて、確実に申告したいですね。