トレードは、多くの投資家がまだ本格的に資金を投入してこないうちに仕込み、彼らが我も我もと追随してきたら、今度は彼らがいない方向にさっと逃げるのが基本です。
つまり、トレードにおいて最もしてはいけないことは、「価格が上昇したから買う・下落したから売る」という行動です。トレード初心者の方、なかなか勝てない方の多くがしてしまう行動です。
1.トレンドフォローは、上昇したら買うのでは?
「価格が上昇してきたから買う」というのは、トレンドフォローをするのであれば間違っていないようにも聞こえます。もちろん、完全な間違いではありませんが、レートが上昇してきた時点で、既に利益確定のタイミングを図っている投資家が存在することを忘れてはいけません。
ちょっとした前回高値ラインを更新してきたからといってエントリーすると、その瞬間にそのレートの伸びが止まってしまい、いきなり下げてきた。。ということはよくあると思います。これが、ただ単に上昇してきたから買うという行動の結果です。価格が上昇してくれば、当然利確する投資家も出てきます。
1-1.注文が集中するラインを見極める
高値ラインの更新でエントリーするのであれば、そのライン上に買い注文が集中しなければいけません。具体的には、現在売りポジションを持っている投資家の損切りの買い注文・高値ライン超えでの買いを考えている投資家の新規の指値買い注文などです。
こうした注文が集中した高値ライン超えであれば、それらの注文を巻き込んで勝手にレートは一気に上昇していきます。
例えば、下図を見てください。上昇してきたレートが、紫色の過去から引ける節目水平ラインに何度か上値を押えられますが、結局安値を切り上げながらラインを上抜くことで、一気に上昇していく局面を描いています。
誰もが意識する紫ラインにまでレートが上昇すると、図中(A)のように、ラインでの反転を狙った投資家が売り注文を入れてきます。それに加えて、それまでの上昇で買いポジションを保有している投資家も、利確の目安となるラインに到達することで決済の売り注文を入れてきます。そうした売り注文により、レートは一旦ラインで反転することになります。
しかしながら、一度下げてきたところは押し目買いでついていきたい投資家も当然存在するため、レートはそうした買い注文によって再度反転、もう一度紫ラインを抜きに上昇に向かいます。しかしながら、やはり紫ライン直下には売り注文が入りやすく、上図では再度上値を押さえられて反転しています。
紫ラインでの反転を狙って売りを仕掛けている図中(A)や(B)や(C)は、ラインで反転することを前提に売っているため、彼らは紫ライン直上に損切りの買い注文を入れています(図中赤〇)。ラインを上抜けられてしまえば、彼らはお手上げで損切りすることになるのです。
また同時に、何度も上値を押さえられて明確な抵抗ラインが見えると、図中(1)や(2)のように、この紫ラインを上抜ければ買っていこう!と考える投資家も増え、彼らはライン直上に新規の買い注文を入れはじめます(図中青〇)。
このように、上図紫ラインのような節目ライン直上には、そこでの反転を狙った売り方(A,B,C)の損切り買い注文と、買い方(1,2)の新規買い注文がどんどん溜まっていきます。
そして結果的に安値を切り上げながらラインを上抜くと、それまで溜まっていた買い注文を巻き込んで一気にレートは上昇することになります。
このような注文の集中といった見極めができず、単にちょっとした高値を更新してきたからエントリーすると、そのずっと以前の安値でしっかりポジションを仕込んでいた投資家に、絶好の利益提供の機会を与えてしまいます。
そうした賢い投資家からすると、その他大勢が食い付いてきてくれてしめしめと感じ、追随の買い注文が一巡したのを確認すると、サッと一気に利益確定の売り注文を浴びせてきます。自分が買うとレートが下がるのは、このような賢い投資家の利確エリアでわざわざ買ってしまい、彼らに利益を提供する側に立っているからなのです。
チャートを分析するというのは、過去の値動きから、他の投資家が次にどのような行動をとってくるのかを読み取ることと同意とも言えます。
*損切り注文が溜まるポイントについては、記事:逆行しないで!!一気に思惑方向に伸びるエントリーポイントが知りたい!?も確認してください。
2.トレンドフォローはトレンドで利を得るもの
相場の値動きに飲み込まれている行動の典型としては、「レートが伸びてきたから慌ててエントリーすると、その瞬間にレートは反対方向に。。」といったものや、「焦って利確・損切りすると、その後何故か思惑方向にしっかりレートが伸び始めた。。」といったものがあります。
これらは、自分の意志でエントリーし利確・損切りしているつもりでも、相場の値動きに飲み込まれています。市場に参加している投資家の9割は負けていると言われますが、そうした9割と同じ行動をしているということです。
トレードにおいては、他の投資家の行動に追随するのではなく、利用するという姿勢が大切です。
レートが上昇し始めると、よし!買っていこう!と我も我もとたくさんの投資家が相場に参加してきます。しかしながら、そうした大多数が属するグループと同じ行動をしている限り勝つことはできません。
その一歩前にポジションを仕込んで、大多数が参加・追随してくることでできあがったトレンドを利益に変えるのがトレードです。レートが動いたからエントリー!と判断している時点で、それは大多数のグループに属していることと同意であり、すでに相場に飲み込まれています。
まだ多くの資金が投入されてこないうちに仕込み、大多数が参加してきたら、自分はサッとそれとは反対方向へ逃げるのが勝つトレードです。
*引用文献:著書「維新流トレード術」より
2-1.一歩前にポジションを仕込む押し目買いポイント
下図の模式図を見て下さい。上昇トレンド中の局面で、Aで一旦の高値を付けてから押し目を築き、再度Aの高値を更新することで一気に上昇しています。
Aで分かりやすい高値を一旦つけたことで、この後再度この高値を更新してきたら買っていこう!と考える投資家は当然増え、ライン上に新規の指値買い注文が溜まり始めます。
また、Aから一旦押し目を築いて下げていますが、これはそれまでの上昇で買いポジションを持っていた投資家の利確の売り注文に加えて、調整の戻しを期待した投資家の売り注文、トレンド転換かな?と判断して成行で売りを仕掛けてきた投資家の売り注文などによる下げです。
こうした売りを仕掛けた投資家の損切りは、直近高値であるAのライン上に溜まることになります。
その後、利確の売り注文などが一巡すると下げ渋り、調整の戻しを期待して売りポジションを持っている投資家などは一旦の利確の買い注文を入れ始めます。それを見て、主要トレンドに乗っている投資家が、押し目と判断して改めて買い注文を入れ始めることで、レートは再度上昇し始めます。
Aで利確することなく買いポジションを持ち続けていた投資家などは、更に買い増ししてくる局面にもなります。
こうした押し目を築いて、一転上昇に転じ始めるBで買いエントリーするのがトレンドフォローです。上図が例えば1時間足の模式図であれば、下位足の5分足などでBのポイントでトレンド転換のサインがあれば入っていくわけです。このBのポイントが、勝つトレーダーのエントリーポイントです。
Bで買いエントリーして、前回高値であるAのラインをCで上抜けてくれば、ライン上に溜まった買い注文を巻き込んで勝手にレートは上昇していきます。その動きを見て、慌てて資金を入れてくる「相場に飲み込まれた投資家」によって、更に勢いを増してレートは上昇していきます。
Bでエントリーしている投資家からすれば、しめしめという感じで、利確の売り注文を浴びせるタイミングを虎視眈々と図っています。
大多数の投資家は、分かりやすい高値ライン抜けであるCでエントリー、もしくは一気に伸びたのを見て飛びついてくるわけですが、その頃には勝っている投資家は、全く逆の注文を入れるタイミングを図っていることになります。
*水平ラインの引き方については、記事:水平線の正しい引き方知ってる?ラインがないとトレードなんてできません!!も確認してください。
3.まとめ
チャートの向こう側には、現在買いポジションを持っている投資家・売りポジションを持っている投資家・売買ポイントを探っている投資家の3種類が必ず存在しています。
これらの投資家が、次にどのような行動をしてくるのか・どのような注文を既に入れているのか、そうしたことを過去の値動きの履歴であるチャートから読み取って、自らの行動を決めるのがトレードです。
そうした投資家の心理・行動・注文を見えやすくしてくれるのが、ラインであり各種のインジケータです。ただ単にレートの上下を追いかけるのではなく、このような3種類の投資家の行動を考えながらトレードすることで、チャートが全く違った景色で見えるようになります。