FXの基礎

押し目・戻り目って結局なに!?トレンドフォローとは、押し目買いすることだった!!

 
押し目がどうして形成されるのかを、正しく理解しておくことはトレンドフォローにはかかせません。単純にレートが下げたから押し、という訳ではないんですね。

トレンドフォローとは、押し目買いと同意といっても過言ではありません。トレードの上達は方法論や手法ではなく、いかに本質を極めるかにあります。

1.押し目・戻り目はどのように形成されるのか?

前回の記事:価格が上昇したら買うのは間違い!?チャートを分析することの本当の意味!?でも触れましたが、押し目・戻り目が形成される過程での投資家の行動・心理を理解することは、トレンドフォローにはかかせません。

下図を見てください。上昇トレンド継続中に、一旦の押し目を築いて再度上昇に転じている局面です。

押し目が形成されるプロセスでの投資家の行動

上図のAで高値をつけ、一旦下げに転じていますね。この下げは、それまでの上昇で買いポジションを保有していた投資家の利益確定の売り注文や、調整の戻りの下げを狙って売りを仕掛けてきた投資家の売り注文による下げです。

Aで高値をつけた後、こうした売り注文を仕掛ける「売り方」が「買い方」を上回ることで、レートは一旦の下げを見せることになります。

 
その後上図のB辺りで、調整の戻りの下げを狙って売りを仕掛けていた投資家が利益確定の買い注文を入れ始めることで、レートは下げ止まりを見せ始めます。

それを見て、ここが押し目と判断した投資家達が、再度の上昇を期待して買い注文を入れ始めることで、レートは再び上昇し始めることになります。それ以外にも、Aで利確せずに買いポジションを保有し続けていた投資家は、更なる買い増しを仕掛けてきたり、下げを狙って売りを仕掛けていた他の投資家達も慌てて利確の買い注文を入れてきます。

このような、様々な思惑を持った投資家達の買い注文が重なることで、Aの前回高値ラインをCで再度更新することにより、上昇トレンドは継続されることになります。

 
これが、押し目が形成されるプロセスです(戻り目はこの全く逆)。現在買いポジションを保有している投資家・売りポジションを保有している投資家・売買ポイントを探っている投資家、それぞれの思惑が重なることで、押し目が形成されているのが分かりますね。

2.どの押し目を捉えるかで利益が変わる

いかにして利をしっかり伸ばすのか。トレーダーにとって、永遠のテーマのように感じられます。一般の書籍や投資関連サイトなどでは、メンタルを鍛えて伸ばす・耐えるといったことや、伸ばせるなら徹底的に伸ばすなど、曖昧な表現で誤摩化しているものがほとんどです。

伸びろ!と祈っても伸びませんし、明らかにトレンド転換のサインが出て売り方が優勢になっているのにも関わらず、その戻しを気合いとメンタルで耐えるというのは素人のすることです。

しっかりと相場の本質を理解し、伸びやすいところと伸びない可能性が高いところを判断できる技術を身につけることが大切です。

2-1.その後、レートが伸びる押し目と伸びない押し目

押し目と一言で言っても、その後しっかり伸びてくれるものと、あまり伸びが期待できないものが存在します。

下図を見てください。上昇トレンド中の局面で、いくつかの押し目を築いてトレンドを継続しています。

深い押し目と浅い押し目の違い

上図には例として、赤のラインで中長期の移動平均線を描いていますが、例えば上図が5分足のチャートであれば、赤の移動平均線は1時間足や4時間足などの上位足の移動平均線になりますね。

上図のAやBでは、赤の中長期の移動平均線に引きつけられるほどのしっかりとした「深い押し目」を築いているため、その後も大きな上昇に繋がっています。

このような「深い押し目」というのは、「より上位足でも認識できる押し目」と言い換えることができます。上図が5分足であれば、1時間足や4時間足でもしっかり認識できる押し目であるため、上位足でスイング気味にトレードしている投資家達も追随して買い注文を入れてきやすくなり、買いの資金量が大きくなることでレートはその後大きく伸びることになります。

 
それに対してCのような、上位足ではほとんど認識できないような小さな押しでは、買い注文が集中することなく、その後の伸びも期待できません。

逆に上図のCのようなポイントは、その前のAの深い押し目から買っていった投資家達が利益確定の売り注文を出すタイミングを図っているポイントでもあり、押し目でしっかり入ったのにレートが戻ってきた。。となりやすいポイントですね。

勝てない投資家は、大きく伸びた後でトレンド発生だ!と判断して、Cのような小さな押し目ポイントでエントリーしたりしています。大きく伸びる前のAの押し目でしっかり買いエントリーし、Cで買い注文を入れてくるような投資家を利用して利益を伸ばすのが勝つ投資家です。

 
このように、浅い押しからは小さくしか伸びず深い押しからは大きく伸びる、というのが相場の原理原則です。同時に、深い押しというのは大きく深く下げるという意味ではなく、より上位足でも認識できる押しということです。

より上位足でトレードしている投資家も買っていきたくなる押し目かどうか。そうであれば、買いにより多くの資金が投入されることになり、レートはその後大きく伸びるということですね。

2-2.実チャートで深い押し目・浅い押し目を確認する

それでは、実チャートで「深い押し目」がどういったものなのかを確認してみます。

下図を見てください。ドル円の5分足の実チャートで、青線の20期間の移動平均線に加えて、1時間足の20期間に相当する長期の移動平均線を赤線で示しています。合わせて、主要トレンドラインを黒線で描いています。

押し目を示したA・B・Cの局面は、先程の図のA・B・Cにも対応しています。

押し目買いした後に伸びるエントリーポイント

上図のAでは、主要トレンドラインにタッチするまでの深い押し目を築き、赤の長期の移動平均線にもしっかり引きつけられています。

上位足でも認識できる深い押し目であり、押し目方向のトレンドラインを上抜けることで買い注文が集中し一気に上昇しているのが分かりますね。

このように大きな上昇を期待するためには、上位足でトレードしている投資家が追随して資金を投入してくるような「深い押し目」を築くことが必要となります。

 
同じようにBの局面でも、レートが主要トレンドライン・長期の移動平均線までしっかり引きつけられる程の深い押しが入り、多くの投資家によって押し目が意識されることで、その後の大きな伸びに繋がっていますね。

それに対してCのような小さな押し目では、上位足からすれば単なる値のブレであり押し目とは認識されません。青の移動平均線までは戻していますが、所詮5分足トレーダーだけが見ている押しであり、買いに大きな資金は入ってきません。

逆にそろそろAから買っていった投資家が、利益確定の売り注文を入れ始める局面となり、次のBの深い押し目に繋がっていますね。

3.勝率を格段に上げる押し目買い・戻り売りの条件

このような伸びを期待できる押し目・戻り目を判断して、トレードを行うのがトレンドフォローの基本となりますが、勝率を一気に上げるために外せない条件があります。

それは、「そこで反転するだけの理由・根拠」があるかないかであり、押し目であれば買い支えられているかどうかということです。

下図の、先程と同じドル円5分足の実チャートをもう一度見て下さい。

押し目買いを成功させるための反転するべき根拠

Aで深い押し目を築いていますが、(1)のポイントで前回高値ラインで買い支えられ、かつ主要トレンドラインにもしっかり支えられながら反転・上昇しているのが分かりますか?

このように(1)のポイントでは、そこで反転するだけの明確な根拠があり(この場合は前回高値ライン・主要トレンドラインに支えられるという2つ)、ここからの押し目買いの成功率は格段に上昇することになります。

Aの押し目の部分の詳細を示した、下図のチャートを見てください。

押し目方向のトレンドライン抜けでエントリーする方法

上図でも(1)のポイントで、前回の高値ライン・主要トレンドラインにしっかり買い支えられて反転・上昇しているのが分かりますね。

しかしながら、(1)で反転の兆しが見えたからといって、(1)のポイントでは買いエントリーすることはできません。Aから押し目を築いて高値を切り下げながら安値を更新してきている(1)では、未だ上図の5分足レベルでは下降トレンド中であり、反転・トレンド転換が確定していません。

(1)で反転して、明確に安値を切上げて高値を更新することで、一旦のトレンド転換が確定します。ダウ理論による、トレンド終息・転換の基本ですね。

*ダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

 
上図での絶好のエントリーポイントとなるのは、(1)で反転後安値を切り上げながら高値を更新し、押し目方向のトレンドラインを上抜けてくる緑◯のポイントになりますね。

支えられるべきラインによって買い支えられ、かつそれが上位足でも認識できる深い押し目となり、ダウ理論によるトレンド転換の確認・注文の集中するトレンドライン抜けによって、ほぼその後の上昇が約束されたようなエントリーポイントとなります。

ストキャスティクスなどのオシレータを表示させていれば、(1)での反転ポイントではダイバージェンスが出ているはずで、下げ渋り・下降トレンドの一旦の終息を示唆することで、その後の上昇に対して更にひとつ根拠が加わることになりますね。

 
*ストキャスティクスのダイバージェンスについては、記事:ダイバージェンスって何を教えてくれるの!?トレンド転換のサインじゃないんだって!!を確認してください。

■獲りにいくべき押し目・戻り目解説動画

4.まとめ

トレンドフォローは、このような押し目買い・戻り売りが基本となりますが、その後しっかり利を伸ばすためには上位足でも認識できる深い押し目である必要があります。

上位足でも押し目と認識できるからこそ、そこに多くの資金が投入されることでレートはその後大きく伸びることになるんですね。

今買いポジションを保有している投資家・売りポジションを保有している投資家・売買ポイントを探っている投資家が、どのような思惑と心理・行動によって押し目・戻り目が形成されるのか。上位足トレーダーが我も我もと資金を入れたくなる相場環境なのか、それとも利益確定したくてウズウズしてくる局面なのか。

そういった他の投資家の行動をチャートから読み取り、そこで発生するトレンドを利益に変えていくのがトレードです。それが最もしやすいのが押し目買い・戻り売りであり、トレードの基本となります。

 
*押し目買い・戻り売りの実践的な考え方については、記事:押し目買い・戻り売りがトレードの全て!?下位足でのトレンド転換がポイントに!!も参考にしてください。