テクニカル分析

勝ちにいくより負けないトレード!?レジスタンス・サポートラインの形成を待つ意味!?

 
トレードを行うに当たっては、勝ちにいくことばかりに意識が向いてしまいがちですが、負けないトレードを意識することでチャートの景色がガラッと変わります。

買いポジションを保有するのであれば、レートがしっかりとしたサポート・支えを得て逆行しにくい局面を見極めることで、安心して買い注文を入れることが可能となります。

1.レートをサポートするテクニカル的要素

レートをレジスタンス・サポートするテクニカル的要素はさまざまですが、中でも最も重要となるのが水平ライン・トレンドラインです。

他のインジケータなどによる抵抗・支持・反転などは、投資家が利用する設定値によってそのインジケータの挙動が異なるため、その他多くに意識されることが少なくなりがちです。ひとつの目安にはなり得ますが、ピタリと抵抗線・支持線として機能したように見えても、ダマシになることが多くなりますね。

それに対してラインは、その他の投資家が共通に見ているチャート・高安値を基準に引かれるため、そのラインが分かり易ければ分かり易いほど多くに意識され、ライン付近に注文も集中しやすくなります。

そうした分かり易い節目となるようなラインにレジスタンス・サポートされることで、多くの投資家が反転を意識し、その方向への注文が入りやすくなります。

 
下図の、上昇トレンド中のチャート模式図を見てください。一旦の押し目を形成して、再度の上昇に転じている局面です。

節目水平ラインとトレンドラインにサポートされた上昇トレンド中のチャート

上図の、押し目から再度上昇へ転じる反転ポイントである(A)を見てください。この(A)では、4つのテクニカル的なサポート要素があるのが分かりますか。

1-1.絶対に外すことのできない節目水平ラインでのサポート

まず(A)では、直近高値ライン(赤線)にサポートされてしっかり反転しているのが分かります。上図赤線は節目ライン(レジサポライン)として機能し、レートを強力に下支えしたことになります。

上図では直近高値に支えられる形になっていますが、さらに過去から引ける高安値が意識されて節目ラインを形成する場合もありますね。

このような節目水平ラインによるサポートが最も強力であり、次の押し目買いを仕掛ける際には絶対に外せない要素となります。逆に言えば、節目ラインによるサポートがない押し目からの反転トレードは、非常にリスクが高くなります。

*レジサポラインについては、記事:レジサポライン見逃してない??強力な抵抗線・支持線として、トレードが超ラクに!?を確認してください。

1-2.サポートラインとして機能するトレンドライン

上図(A)では、節目水平ライン(赤線)に加えて、トレンドライン(青線)にも支えられて反転しているのが分かりますね。

分かり易いトレンドラインであればある程、その他多くの投資家に意識され、明確な反転が確認できればその後の買い注文も入りやすくなります。その他多くが買い注文を入れるからこそ、その後レートは大きく伸びることになります。

1-3.ダウ理論による安値切上げによるサポート

節目水平ラインとトレンドラインにサポートされた上昇トレンド中のチャート

押し目からの反転ポイントである(A)は、上昇トレンド継続を示唆する安値切上げポイントでもあり、ダウによるひとつのサポートを得たことになります。

いくら節目水平ラインによるサポートを得ても、明確な安値切上げが確認できなければ、上昇トレンドへの転換・継続は保証されません。次の上昇に繋がる必須のサポート要素として、節目水平ラインと必ずセットで考えるようにしたいですね。

*ダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

1-4.しっかり上向きの移動平均線によるサポート

上図(A)では、しっかりと上向きの移動平均線(紫線)にもサポートされるように、反転・上昇しているのが分かります。方向がしっかりと上向きであることが重要で、まだ水平から横ばいの局面では、一旦反転上昇してもすぐにレートは戻してきやすくなりますね。

また、移動平均線はその設定値によって挙動が異なるため、今表示させているものにピタリと反転してきたように見えても、他の投資家には意識されずワンテンポ遅れての反転・もしくはワンテンポ早くなることも多くなります。

しかしながら、その方向・レートとの位置関係・グランビルの法則などによって、値動きのひとつの大きな目安となります。

*グランビルの法則については、記事:グランビルの法則知ってる!?移動平均線をフル活用するのに絶対かかせない使い方!!を確認してください。

1-5.テクニカル的サポート要素のまとめ

上記以外にもさまざまなサポート要素がありますが、これらの要素が重なれば重なるほどレートの下支えが強固になり、その後の上昇に繋がりやすくなります。

中でも上昇であれば、節目水平ライン・ダウによる安値切上げによるサポートは必須で、この支えが明確に確認できる局面だけでトレードするだけでも、勝率は劇的に改善されます。

2.サポートされた節目ライン付近でトレードする

このように上昇であれば、明確な節目ラインにレートが下支えされることが必須となりますが、実際のトレードもこの節目付近でポジションを取ることにより、損切り幅を狭く・かつ有効な損切りラインを設定して利を伸ばすことが可能となります。

下図の模式図を、もう一度見てください。

*損切りラインの基本については、記事:損切りの考え方の基本のき!?美しく負けるトレードがあることを認識しよう!!を確認してください。

*押し目買い・戻り売りの基本的な考え方については、記事:押し目買い・戻り売りがトレードの全て!?下位足でのトレンド転換がポイントに!!を確認してください。

サポートラインに支えられた節目付近でのエントリーポイントを示したチャート模式図

いくつものテクニカル的要素にサポートされた(A)のポイントで、その反転を確定させるのが下位足(上図点線)でのトレンド転換である安値切上げ・高値更新になります。ダブルボトムや逆ヘッドアンドショルダーズなどの、トレンド転換のチャートパターンも有効ですね。

上図緑◯のがひとつの買いエントリーポイントになりますが、損切りは直近安値である節目水平ライン(赤線)に設定することができ、損切り幅を狭くかつ強力なサポートラインを損切りラインとすることができます。

この節目水平ライン(赤線)を下抜けると、売り方優勢のエリアに入りその後の上昇に対する優位性が一気に失われることになります。逆に言えば、買いエントリー後少々逆行してきたとしても、節目水平ライン(赤線)上にレートがある限りは買い方優勢であり、再度支えられて上昇する可能性が非常に高くなります。

 
このように、強力なサポートライン付近で買いポジションをもつことで、損切り幅を狭くして万が一の逆行時の損失を抑えることができるのと同時に、サポートが強力であることが分かっているため安心して・自信をもって買いエントリーすることが可能となりますね。

大きく伸びるかどうかの勝ちを意識したトレードではなく、レートを強固に下支えする要素を確認する負けないトレードに意識が変わるのではないでしょうか。

3.レジスタンス・サポート要素をチャートで理解する

それでは、実際のチャートでレジスタンス・サポート要素を確認しながら、トレードのエントリーから決済までを考えてみます。

下図の、ドル円1時間足チャートを見てください。チャートには、短期・中期(20期間・75期間)の単純移動平均線と水平ライン・トレンドラインを合わせて表示させています。

レジスタンスラインとトレンドラインに上値を押えられて下落したドル円チャート

下降トレンドを形成して下げてきたレートが、一旦の戻り目を築いて(A)のポイントで反転・再度の下落に転じていますね。

この(A)は、過去何度もレートが支えられて安値をつけたライン上であり、(A)で上値を押えられることで節目ライン(レジサポライン)を形成しているのが分かります。この(A)での反転を確定させるのが、下位足でのダウによるトレンド転換であり、その高値切下げ・安値更新ポイントで売りエントリーすることが可能となります。

合わせて(A)は、ダウによる高値切下げポイントであり、かつ過去から引けるトレンドラインにもピタリと押えられています。さらには、しっかりと下向きの中期の移動平均線(赤線)にも押えられ、テクニカル的なレジスタンス要素がいくつも重なり、強力に上値を押えられていることが分かります。

ここまで強固な上値抵抗帯を形成してくれれば、安心して売りエントリーすることができますね。

 
(A)で売りポジションを持つことができれば、あとはサポートラインに支えられて安値切上げ・高値を更新して、短期的なトレンド転換が確定する緑◯(B)あたりが、ひとつの決済ポイントになるのではないでしょうか。

レジスタンスラインとトレンドラインに上値を押えられて下落したドル円チャート

また、上図(1)の分かり易い安値更新ポイントは、分かり易いためにその他大勢が売り注文を入れてくるポイントになります。

直前の(a)で安値をつけた時点で、この(1)のライン上には新規の指値売り注文が既に入っており、また戻しの上昇を買っていった投資家の損切り売り注文も入っています。分かり易いが故に注文が集中し、(1)を下抜けるとそうした注文を巻き込んで一気に下落することになります。

もちろん(1)もひとつの売りエントリーポイントになりますが、やはり損切り幅が広くトレードのリスクは高くなります。(A)では、下位足レベルでの小さな損切り幅で次の下げを狙うことができ、リスク/リワード比は格段に改善されることになりますね。

合わせて補足になりますが、上図では(A)で売り損ねたとしても、再度小さくレジスタンスラインを形成して反転・高値を切り下げてくる上図(b)も、ひとつの売りエントリーポイントになります。

 
それでは、(A)の直前での戻り目も見てみましょう。下図をもう一度見てください。

レジスタンスラインに押えられていない局面でのリスクの高い売りエントリーポイント

上図の(あ)も、一旦の戻り目をつけて反転・再度の下落に転じていますが、節目水平ラインによる最も重要なレジスタンス要素が欠落しています。

そのため、戻り目からの再下落かな?という感覚だけで(あ)辺りで売りエントリーし、直近高値に損切りラインを設定したとしても、直後の(い)のようにちょっとした上ヒゲによって損切りにかかってしまいます。

このように、上値が明確にレジスタンスされていない戻り目からのトレードは、非常にリスクが高くなります。

■押し目買いにかかせないサポート要素解説動画

4.まとめ

明確なレジスタンス・サポート要素が確認できるポイントでトレードすることで、ポジション保有後に逆行する可能性が非常に低くなり、仮に少々逆行してきたとしても再度抵抗・支持されて、思惑方向にレートが伸びやすくなります。

また、節目となるレジスタンスライン・サポートライン付近でポジションをもつことで、損切り幅を狭くリスクを最小限に抑えたトレードが可能となります。

 
このようなレジスタンス・サポート要素に意識を向けることで、勝ちにいくというというよりも負けないトレード・負けてもリスクが小さいトレードに視点が変わり、安心してポジションをもつことができると思います。