FXトレーダー

FXトレードにメンタル強化は必要なかった!?負ける言い訳にしたいのに。。

 
FXに関する様々な書籍やサイトでは、メンタル強化の必要性が書かれています。利が伸ばせない・損切りができないのは、最終的にはメンタルが弱いからだとまとめていますね。仮にそれが原因だとしても、その強化方法を詳細に解説した書籍はどこにも無いのが現状です。

そのような精神的なことを持ち出してしまうから、自分はFXや投資には向いていない。。という間違った考えを持って、相場に向き合ってしまうことになるのです。

1.トレードとは、欲と恐怖に支配されているゲーム

そもそも、メンタルを強くするというのはどういう意味でしょうか。利食いしたくても、できるだけ利を伸ばせる忍耐力でしょうか?素早く損切り決済ができる、潔さや決断力でしょうか?

いくらこちらが気合いを入れて伸びろ!と祈っても、チャートはその通りには動いてくれません。つまり当たり前ですが、トレーダーのメンタルと値動きとは全く関係性がないということです。

そうはいっても、実際に自分の大切な資金を扱っている以上、様々な感情が生まれてしまうのがトレードです。そうした感情がどういうものなのかを、まずは深く理解することが大切な一歩となります。

 
トレードによって沸き起こる感情というのは、簡潔に言うと「お金を手にしたい欲」と「お金を失ってしまう恐怖」の二つです。細かく分類するともっと様々な感情があると思いますが、その元となる感情は全てこの二つに帰結します。

早く利益を得たいという欲が利食いを早めてしまい、損を受け入れたくないという恐怖が損切りを遅らせます。投資の基本である損小利大が、この欲と恐怖という感情によって全く逆の損大利小となってしまいます。

それならば、やるべきことは、恐怖を和らげて利益を得たいという欲を抑えることです。

1-1.相場を理解していないから恐怖が生まれる

人は、自分が理解していないこと・未知の世界に触れるときに恐怖を感じます。経験や理解がないために、今ある自分の考え・思いだけで頭の中に様々な虚構をつくり出し、それが恐怖という感情となって表れてきます。

その恐怖が大きくなり始めると、今度はそれを和らげようと様々な都合の良い考えを無意識に持ち出して、大丈夫と自分に言い聞かせるように気持ちを落ち着かせようとします。一度の取引で大きな損失を出してしまう、自分の期待や気分でトレードしてしまっている思考パターンです。

まずは、相場を深く理解しなければいけません。どこかの書籍でこう書いてあったからエントリーしてみた。といっても、自分がそこに本質的な深い理解と根拠をもっていなければ、安心して身を委ねることはできないはずです。逆に理解があれば、何も躊躇することはなくなるのです。

2.欲と恐怖から解放されるたった一つの方法

恐怖を和らげて利益を得たいという欲を抑える唯一の方法は、トレードする枚数を落とすことです。損失に恐怖を感じる根底には、トレーダー自身の金銭感覚があります。月に数万円のお小遣いで生活しているサラリーマントレーダーの方が、一度の取引で数万円の損失を受け入れるのには大きな恐怖を伴います。

この個人的な金銭感覚は長年培われてきたもので、今すぐに変えるのは難しいものです。恐怖を感じなくなるレベルまで枚数を落とすことで、自身の感情とは切り離された世界でトレード自体に集中できる環境を作ることができます。

もちろん枚数を落としているので、利益額自体にもあまり興味がなくなるでしょう。自身のルールに基づいて取引できたかどうかに、自然と視点が移るようになります。そうした環境で経験を積むことによって、いつの間にか勝てる感覚・チャートを見る景色が全く違うことに気付いて、驚かれることになると思います。

私自身も、取引中に今いくら利益が出ているかなどを確認することは一切ありません。利益が出る・損失が発生するというのはあくまで結果であって、するべきことは自身のトレードを完遂するというただ一点です。

3.トレードは負けても全然構わないという姿勢

取引を行う以上、利益を得て資金を増やすというのはトレーダー全員の目的です。ただ間違ってはいけないのは、お金を増やすのはトレード自体によってではなく、資金管理によって行うということです。

取引中に注視すべきはチャートの値動きだけで、自身のトレードを全うすることだけに集中します。その規律あるトレードの完遂後、利益が出る・損失が発生するという結果があるだけです。自身のルール・規律をしっかり守ることができたトレードは、全て勝ちトレードという意識です。

FXを始めたばかりの初心者の方は、一銭も損失を出したくなくて全ての取引に利益を求めてしまいますが、熟練トレーダーの方であっても全ての取引を利益にすることはできません。当然のように発生する損失を最小限に抑えながら、適切な資金管理によって利益を積み増しています。

ですから、負けてしまっても全然構わないんです。それが自身の規律に基づいたトレードであれば、それは次の利益に繋がる立派な勝ちトレードとなります。

損切りしようかためらってしまった。。思わず早めに利食いしてしまった。。ということがあれば、今取引している枚数は少し多いのかもしれません。トレード中に、自身の欲と恐怖が入り込んでいるため、本来の規律に基づいた判断ができなくなっています。そうしたためらいが一切なく、考え通りの取引ができる枚数が、今の身の丈にあった枚数です。

4.全てのエントリーと決済に明確な根拠をもつ

まだ値が伸びそうな気がする。。このまま様子を見た方がいいかな。。きっとすぐ戻ってくる。。と感じる局面があると思います。このような場合多くの方は、都合の良い理由を自分に言い聞かせたり、都合の良い理由を必死に見つけ出そうとします。

しかしながら、もしこのような感情や考えが浮かんできたとしたら、するべきことは即ポジションを解消することです。自分の中で、この先も値がその方向に伸びる根拠を見出すことができていない状態なので、その後は全て運任せのギャンブルになってしまいます。

悩んだらエントリーしない、分からなくなったから決済するというのがトレードの基本姿勢です。まだまだ伸びそう。。きっと戻ってくる。。というのは、ただのこちら側の期待です。そこに明確な根拠がない限りは、取引をしないことがしっかり利益を残すためには必須となります。

そのトレードのエントリーと決済を、論理的に人に説明することができるかどうか。一つ一つの取引が終了する度に、誰かにそれを説明するつもりで言葉にしてみてください。ただ自分の欲と恐怖だけで取引していたということが、嫌でも認識させられると思います。

5.まとめ

メンタルを強化する意味は全くないこと、そもそも強化するという意味が曖昧なことがはっきりしてきたのではないでしょうか。我慢しても祈っても粘っても、こちらの思うように値は動いてはくれません。自身の根拠をもって、ここは利食いする局面・即損切りする局面というのを理解し、ただ実行するだけです。

相場に期待をもつことなく、チャートがこの形になったからエントリーする・こうなったから決済する・分からなくなったからポジションを解消する、これを繰り返すのがトレードです。地道なこの繰り返しを続けた結果、資金が増えていたという現実が目の前に現れます。

ほとんどのトレーダーが、自身の欲と恐怖と戦いながら相場と向き合っています。そうした多くのトレーダーの心理状態が、色濃く表現されているのが今目の前にあるチャートです。そのことを理解することによって、今デイトレーダーが決済に躊躇しているな。スイングトレーダーが相場に参加してきたな。ということが、その値動きから読み取れるようにもなります。

FXとは、他のトレーダーとの駆け引きで成り立っているゲームですから、相手の感情や思いを感じ取れることで精神的に優位な位置に立つことができます。相場をひとつ上の視点から、俯瞰して眺められるような感覚です。