テクニカル分析

誰も教えてくれないトレンドラインの使い方!!押し目・戻り目でエントリーし放題!?

 
ある程度トレード経験がある方であれば、チャートにトレンドラインを引いたことがないという方は少ないと思います。しかしながら、そのラインは本当に機能する正しいラインでしょうか?

ネット上や書籍でも、正しいトレンドラインの引き方や使い方を解説したものは、本当に少ないのが現状です。ここでは、ラインの基本的な引き方や、実際のエントリーにも利用できる使い方をご紹介します。

1.何故トレードにラインが必要になるのか?

トレンドラインの引き方に入る前に、まず水平線を含めた「ライン」がどうして必要になるのかを考えてみます。

いざトレードしようと思っても、値動きを表したチャートだけでは、今相場はどちらの方向を向いているのか・買えば良いのか売れば良いのか、何も判断基準がないためどうしたら良いのか全く分かりません。そのため、相場に向かうトレーダー達は一定の基準を見出すために、移動平均線などのインジケーターを表示させたり、水平線やトレンドラインを引くのです。

しかしながら、ここで移動平均線などのインジケーターとラインには決定的な違いが存在します。それは、インジケーターは値動きを数値化したものであるのに対して、ラインはチャート形状そのものを基準にしているということです。

インジケーターは、個人が設定する数値によって全く異なる挙動を示しますが、チャート形状を基準とするラインは、分かり易ければ分かり易いほど皆が同じものを見ていることになります。皆が同じものを見ているからこそ、そのラインが意識され有効に働きやすくなるのです。

これが、あらゆるインジケーターとラインの決定的な違いです。逆に言えば、的外れなラインを引いても全く機能せず、皆が意識するようなラインが引けていれば相場を一気に掴みやすくなるということです。

1-1.ライン際でトレードするだけで勝率が上がる

トレンドラインは、起点ともう1点を決めて結べばいくらでも引くことが可能です。ただ、トレンドラインが「有効」というとき、それはその2点を結んだ延長線上で、3点目が意識された値動きをした場合です。

下図を見て下さい。

起点から2点目に引いた上昇トレンドライン

上図では、起点と次の2点目を結んだ延長上で、はっきりと3点目が意識され、上昇トレンドが継続していく様子が分かります。値動きはただランダムに動いているだけとするならば、このようなはっきりと分かりやすいラインは引けないはずです。

上図でも分かるように、チャートはランダムに動いているのではなく、そこには明らかな優位性が存在し、ラインというものが意識され、ライン際には注文が集中しやすいということです。その方向の注文が集中することで、動き始めたらレートは素直に伸びやすくなります。

そのため、できるだけライン際でエントリーすることによって思惑方向に動きやすくなり、その後の値幅も期待することができます。逆に、ラインから離れたポイントでトレードするということは、それだけ相場はランダムに近くなり、思惑方向に素直に動く確率が極端に低くなってしまうということです。

2.トレンドラインの基本的な考え方

まず、トレンドラインを引く際に、ローソク足のヒゲを考慮するべきか?という議論がされることがあります。これについては、日本の投資家は主にローソク足を利用していますが、欧米などではバーチャート等でレートを確認することも多いため、各時間足の高安値がより意識されることになります。

より多くの投資家が意識するからこそ、そこに引かれたラインは有効に働くわけですから、ローソク足のヒゲを無視して引いたラインが機能することはありません。必ずヒゲを含めたポイントで、起点と2点目を設定するようにしてください。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より
ローソク足のヒゲを考慮せずに引いた機能しないトレンドライン

2-1.高値を更新してはじめて引ける上昇トレンドライン

安値を切り上げて高値を更新している限りにおいて、相場は上昇トレンドであり、その安値を結んだラインが上昇トレンドラインとなります。

それとは逆に、高値を切り下げて安値を更新している限りにおいて、相場は下降トレンドであり、その高値を結んだラインが下降トレンドラインとなります。

上昇トレンドラインと下降トレンドラインの定義

上図のように、上昇トレンドラインは、その上昇を支えるサポートライン(支持線)として機能し、下降トレンドラインは、その下降の高値を押えるレジスタンスライン(抵抗線)として機能します。

ここで、例えば上昇トレンドラインを引く際には、チャートが起点から2点目の安値をつけてから、高値を更新してはじめてラインが確定するということです。2点目となる安値をつけてから、高値を更新する前には引くことができないので注意が必要です。

上昇トレンドラインと下降トレンドラインを引く時の基本的な考え方

ただ実トレードにおいては、レートが高安値を更新する前に仮のトレンドラインを引くことはよくあります。しかしながら、次の高安値を更新するまでは、トレンドラインとして確定しないことは認識しておく必要があります。

高値を更新することではじめて上昇トレンドラインが確定するチャート

3.エントリーポイントとして使えるトレンドライン

ネット上や書籍などでも、トレンドラインを割ったらトレンド転換のサイン!という解説をよく見かけます。有効な上昇トレンドラインを割ってくれば、トレンドは終了なので売っていきましょう!と、エントリーポイントとして解説しているサイトも存在します。

このトレンドライン割れは、エントリーポイントとして本当に機能するのでしょうか。下図を見て下さい。

トレンドラインを利用した間違った売りエントリーポイント

上図は、3,4点目が意識される有効なトレンドラインが引けている、上昇トレンド中のチャートです。図の(A)の局面で、レートははっきりとトレンドラインを割ってきました。

ここでトレンド転換のサインと考えて、売りエントリーしてしまうとどうでしょう?その後レートは更に上昇を続けていき、売りポジションを持ってしまうとどんどん損失が膨らんでしまいます。

このように、レートがラインを割っただけではトレンド転換とはならず、そのためにエントリーポイントとしても全く機能しません。もちろん結果的に下落に繋がることはありますが、トレンド転換は確定していないことを覚えておいてください。

あくまでトレンドの転換は、上図のような上昇トレンドであれば、「高値の切り下げ・安値の更新が見られるポイント」で確定することになります。これは、ダウ理論によるトレンド転換の基本となる部分です。

上図(A)では、図中の赤線で示すように安値はまだ切り上げており、上昇トレンドは依然継続している局面です。トレンドラインを割ったことで、それまでのトレンド速度での上昇は一旦終息し、勢いがなくなってきたことを表しています。

*ダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

3-1.主要トレンドとは逆方向に引いたラインでエントリー

上述したように、トレンド方向に引いたトレンドラインは、上昇であれば支持線として機能し、下降であれば抵抗線として機能します。レートがラインを割っても即トレンド転換とはならず、その速度でのトレンドが一旦終息・勢いがなくなってきたことを表していました。

トレンド転換のサインではない以上、そこで反対方向にエントリーするのは無謀だということです。

では、エントリーポイントとして使えるのはどのようなラインでしょうか。それは、主要トレンドラインとは逆方向に引いたトレンドラインです。下図を見てください。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より

主要トレンドとは逆方向に引いたトレンドラインでエントリーできる例

下降トレンド中のチャート図で、起点と2点目が決まり下降トレンドラインが引けています。

ここで図中の(1)で、一旦安値を切上げて戻り目を築き始めてきました。その後(2)で、トレンドラインタッチではっきりと反発し再度下げてきていますね。この(2)のポイントは、加えて直前の安値ラインでもあるため、このポイントでの反発は明確にこれ以上の上昇を押えられたと判断することができます。

その後(2)→(3)ではっきりと高値を切り下げて、赤線で示したトレンドラインを(A)で下抜けることで、レートは更に下げることになりました。この主要トレンド(この場合は下降)とは逆向き(戻り目方向)に引いたトレンドラインを下抜ける(A)は、エントリーポイントとして使用することができます。

このように、エントリーに使えるトレンドラインというのは、主要トレンドの方向にトレンドラインが既に引けていて、それとは逆方向に引いたトレンドラインとなります。つまりは、押し目・戻り目方向に引けるトレンドラインですね。

また上図のように、ライン抜けでそのまましっかり下げてくるためには、(3)のように一度高値を切り下げていることも大切です。

 
それでは、もう一例見てみましょう。下図を見てください、今度は上昇トレンド中に押し目を築いている局面です。

上昇トレンドラインと逆向きに引いた注文の集中ラインによるエントリー

起点と2点目が決まり上昇トレンドラインが引けている状態で、(1)のあたりで一旦押し目を築いてきました。その後(2)で、トレンドライン上ではっきりと反転し、そのまま赤線で示した押し目方向のトレンドラインを(B)で上抜いてきていますね。

この(B)はエントリーポイントとして使えますが、先程と違ってラインを抜けても一気に上昇することなく、一旦下げています。これは(2)から安値をはっきりと未だ切り上げていないため、ラインを抜けても一度安値を試そうという動きになりやすいからなんですね。

(2)→(3)で安値を切り上げてから、しっかりとした上昇に転じています。一旦赤線のトレンドラインを上抜けた後、一度下げて今度はこの赤線ラインを支えに反転している動きにも注目です(ライン上でのリターンムーブ)。

相場がこのラインを意識して、このラインを境に本格的にトレンドが転換していく様子がよく分かりますね。

■トレンドラインの基本的な引き方解説動画

 
*レートがトレンドラインを割った後のシナリオについては、記事:レートがトレンドラインを抜けたらどうしたらいいの?絶対に押えたい2つのシナリオを確認してください。

*レートがトレンドラインを抜ける意味については、記事:トレンドラインを割ってもトレンド転換じゃない!?ラインを抜ける意味を理解しよう!!を確認してください。

4.まとめ

トレンドラインは、知ったからといって即使えるものではなく、チャート上に自分で何度も何度も引き直して経験を積むことで、はじめて身に付く技術です。私自身もまだまだと思っていますし、日々チャートと向き合ってラインの引き直しを今も繰り返しています。

また、トレンドラインは本当に奥が深く、まだまだたくさんの使い方が存在します。ここで紹介したエントリーポイントとしての使い方以外にも、利を最大限に伸ばしたり効果的な損切りラインとしても機能してくれますね。

ライン引きは、トレーダーとして必ずマスターしなければいけない技術ですので、腰を据えてじっくり習得していく姿勢が大切になります。