テクニカル分析

水平ラインの正しい引き方知ってる?ラインがないとトレードなんてできません!!

 
チャートそのものだけでは、取引基準を何も見出すことができません。その基準を見出すために、トレーダーは水平線やトレンドラインといったラインを引き、移動平均線などのインジケーターを表示させます。

ただ、ラインとインジケーターには明確な違いが存在します。インジケーターが値動きを数値化したものであるのに対し、ラインはチャート形状そのものを基準にしています。そのため、インジケーターは設定値により全く異なる挙動を示しますが、ラインはチャート形状そのものが基準であるため、多くのトレーダーが同じものを意識しやすくなるのです。

1.相場はただランダムに動いているだけなのか。

水平ラインやトレンドラインのないチャート

チャートをただ眺めていると、そこには何の規則性もなくランダムに動いているように見えます。これから先の動きは全く予測できないものであり、トレードなんてギャンブルだと感じてしまうかもしれません。

相場に向き合ったことのない人からすれば、こう感じてしまうのも無理はありません。しかしながら、相場には明らかに絶対的な優位性が存在しています。

チャートには、市場に参加している投資家たちの心理や行動が色濃く表れています。もっと稼ぎたい・これ以上の損失には耐えられないといった、感情や行動によって相場は上下動を繰り返しています。

チャート上に描かれた水平ラインとトレンドライン

はじめのチャートに、水平線とトレンドラインを引いてみました。

この図のように、本当にただランダムに動いているのであれば、これほど明確に意識されている水平線やトレンドラインを引くことはできないはずです。これらのラインから、多くのトレーダーが同じような心理で相場に向きあっていることがよく分かります。

このようなラインを正確に引き、最大限に利用して相場に向き合うことができれば、絶対的な優位性をもってトレードすることが可能になります。

1-1.過去のレートが現在の値動きに強い影響を与える。

相場は、目先の値動きに反応するトレーダーによって動いているのではありません。既にポジションをもったトレーダーの、今自分は利益が出ているのか・損失が出ているのかという事実で動いています。

つまり、投資家たちの過去にとった行動が今の値動きに大きな影響を与えているのです。

強く意識されている水平ラインと損切り注文の集中

上図では、強く意識されている水平線を上抜けることで大きく上昇しています。

これは例えば、今は下落してきた相場の戻り目と考え、図の(1)や(2)付近で売りを仕掛けたトレーダーがいます。強く意識されている水平線(抵抗ライン)は、彼ら(売り方)の損切りラインとなり、ライン直上には買い注文が集まります。

また同時に、はっきりと分かる抵抗ラインであるために、ここを上抜けてきたら買っていこう!というトレーダー(買い方)の買い注文も集中してきます。この2者による買い注文の集中により、ラインを上抜けるとそれらの注文を巻き込んでレートは一気に上昇していくことになります。

このように、相場は目先の動きではなく、過去のレート・過去の投資家の行動に強い影響を受けていることが分かります。

2.意識が集中するポイントを教えてくれる水平線

これだけで勝っているトレーダーもいるというほど、水平線は非常に重要です。安易な数値設定をしたインジケーターよりも、過去のレートを考慮した水平線の方が圧倒的に信頼できるのです。

相場は、需要と供給の多数決で動いており、買い勢力の方が強ければレートは上昇し、売り勢力の方が強ければレートは下落していきます。水平線は、その買い勢力と売り勢力の勝敗を分ける多くのトレーダーが意識するポイントを教えてくれます。

上位足から強く意識されている水平ラインと買い注文の集中

需要と供給の多数決で動いているとすれば、ラインが多くの時間軸で共通に意識されているものであれば、より有効に働くことになります。

上図はユーロ/円の5分足のチャートですが、赤の水平線は1時間足・4時間足でもずっと意識されてきた水平線であるため、上抜けたときの上昇幅も大きくなっています。多くの時間足で意識されるラインであり、大きく買い勢力と売り勢力を分けるラインになっています。

その直下に5分足レベルでのみ意識されていた水平線がありますが、このラインを抜けてもそれほど大きくは下落していません。上位足でトレードしている投資家には、意識されていない(見えていない)ため、ラインを下抜けても上位足から売り注文が入ってこないためです。

3.主要な高値・安値を基準に引ける水平線

主要な高値と安値に引いた水平ラインと1時間足チャート

多くのトレーダーがよく意識して引くラインが、この主要な高値・安値に引く水平線です。ただ、何か基準がなければ、どこを高値・安値とするのかが分からず、ちょっとした値動きの上下にもラインを引いてしまいます。

ひとつの基準としては、移動平均線がつくる山と谷を高値・安値とすると、意識される有効な高安値ラインとなることが多くなります。移動平均線の設定値も、あまりに小さくても大きくても相場を的確に捉えることが難しくなるので、私は通常20期間の移動平均線を主に利用しています。

ひとつの高値というのは、投資家がこれ以上は高過ぎると判断して、ポジションを手仕舞う売りが入ることで形成されます。とすれば、再びその高値を試すときには、直近の高値に引いた水平線は当然意識されることになるのです。

再度高値を試す際、前回の高値以上でも買い手が存在すればその高値は更新され、やはりその高値は高過ぎると再認識されれば更新されることなく、その後下落していく可能性も非常に高くなります。

つまり、高値・安値ラインを境にして、買い勢力の強いエリアと売り勢力の強いエリアに分けられることになります。

*移動平均線については、記事:もう逆行しない!!移動平均線の見方と、思わず唸ってしまう鉄板の使い方!?を、確認してください。

サポートラインやレジスタンスラインとして機能する水平線

上図では(1)で高値をつけた後、一旦ポジション解消の売りが入ることで押し目を形成し、再度高値を試して見事に前回の高値ラインを更新しています。

その後新たな高値をつけたあとに再び売りが入り、(2)で反転して再度前回高値を試す動きになっています。ここで注目したいのが、(1)で引いた高値ラインが、(2)で安値ラインとして機能していることです。

このように、ひとつの高値として引いた水平線が、次の安値としてレートを支えるラインとして明確に機能するとき、相場はこのラインを強固に確定させたと判断することができ(リターンムーブ)、その後の上昇を裏付ける非常に大きな要因となります。このラインを境に、買い勢力の強いエリアと売り勢力の強いエリアに分けることができます。

4.最も重要なレジスタンスラインとサポートライン

レジスタンスラインの引き方と使い方

チャートに引く水平線として、抵抗線とも呼ばれるレジスタンスラインと支持線であるサポートラインは、さらに強く意識されるラインとなります。

一旦高値をつけた後、再度その高値を試すも同値付近で下落した場合、その高値に引いたラインはレジスタンスラインとなります。2回以上、同値で頭を押えられたラインです。サポートラインはその逆で、2回以上支えられたラインのことを指します。

上図では(1)で一旦高値をつけた後、再度その高値を試す動きになりますが、(2)で(1)とほぼ同値で2度3度と押えられてレジスタンスラインを形成しています。

これだけ何度も押えられると、これより上値を目指すのは無理だ!と皆が判断して、それまで買いポジションを保有していたトレーダー達は決済の売り注文を入れ、同時に新たに売りエントリーを仕掛けるトレーダーが増えることにより、レートは一旦下落することになります。

4-1.見つけにくいサポートラインを絶対に見逃さない

リターンムーブして意識されるレジスタンスラインとサポートライン

上図は、先程と同じ局面のチャートです。少し見つけにくいですが、図の赤線のようなサポートラインを意識することができるかどうかで、トレードの組み立ては全く違ったものになります。

2度3度と支えられてサポートラインを形成した後、レートは一旦下抜けるものの値を戻し、図の(3)で反転して再度下落に転じています。サポートラインとして機能していたラインが、(3)で今度は抵抗線として機能しています。

これで相場はこのラインをはっきりと確定させたことになり、その後売りが非常に進みやすい相場になります。絶対に見逃してはいけないラインです。

4-2.強く意識されている水平線は機能し続ける

機能し続けているレジスタンスサポートライン

上図は、先程の局面の続きのチャートです。(3)で確定させたラインは、その後も抵抗線・支持線として機能し、しっかり再度支えられた後は一気に上昇に転じています。

また、その勢いで(1)(2)で強く意識されていた水平線を上抜けると、さらに勢いを増して上昇しています。このように、一度強く意識されたラインはその後も機能し続けることが多く注意が必要です。

4-3.トレンドラインと組み合わせることで見える世界

トレンドラインと水平線との組み合わせでチャートを読み解く

補足になりますが、水平線を引いた先程のチャートにトレンドラインを加えてみました。水平線だけでなく、トレンドラインでもレートが押えられたり支えられたりしているのが分かります。水平線と同じように、トレンドラインを境にリターンムーブしているのも分かります。

このように、意識される水平線とトレンドラインをチャート上に引くだけで、今買うべきなのか・売るべきなのかといった判断や、そろそろ決済すべきなのか・まだまだ値は伸びる余地があるのかといったことまで見えてきます。

■水平線・節目ラインの引き方の基本解説動画

■節目となる水平ラインを引くことで見える世界

 
*節目ライン・レジサポラインについては、記事:レジサポライン見逃してない??強力な抵抗線・支持線として、トレードが超ラクに!?を確認してください。

5.まとめ

水平線を1本引くだけで、チャートの景色は全く違ったものになります。強く意識されるラインであるほど、そこに損切り注文や指値注文が集中するようになり、抜けたときの上昇・下落も大きなものとなります。

水平線は、無ければトレードできないというくらい非常に重要です。その1本のラインを見逃してしまったことが、大きな機会損失にも繋がります。チャート上に丁寧にラインを引く習慣を身につけることが、トレーダーとしての第一歩になるのです。

 
*水平線によって相場をエリアに分ける考え方については、記事:水平ライン・トレンドラインで相場を階層に分ける!?チャートの景色がガラッと変わった!!も確認してください。

■追伸

私の現在のトレード環境も記事にしています。これから本気で相場に向き合っていくに当たっての、参考になればと思います。詳細は、こちら