FXの基礎

損切りの考え方の基本のき!?美しく負けるトレードがあることを認識しよう!!

 
トレードの上達を考えたとき、どうしたら勝てるのかを考えるトレーダーは多くても、どのように負けるのかを真剣に考え行動しているトレーダーは非常に少ないですね。

絶妙のエントリーポイントや利の伸ばし方には意識が向いても、的確な損切りラインを見出し「負ける技術」を磨いているトレーダーはほとんどいません。

1.損切りは唯一自在にコントロールできる優位性

トレードは、その後の上昇に対して優位性があれば買い注文を入れ、下落に対して優位性があれば売り注文を入れるのが基本です。

優位性のある方向に資金を乗せるので、当然思惑方向にレートが伸びる確率は高くなりますが、一歩先の未来は誰にも分からないため、思惑に反して逆方向にレートが進んでしまうことはもちろんあるわけです。

そのような思惑とは逆方向にレートが進んだときに、トレーダーが行うべき行動が損切りです。損切りできないというのは論外ですが、どこで損切りするのかは、資金をトータルでプラスにもっていくことを目的としているトレードにおいて、非常に重要な位置を占めることを認識してください。

1-1.トレーダー側で唯一、自由に決定できるのが損切り

上昇トレンド中に買いエントリーする時の損切りライン

トレードは例えば、上昇に対して優位性が見出される局面で買い注文を入れる際、その多くは最も意識される前回高値ラインを利確目標とし、その期待値とリスクとの関係からエントリーの可否・資金量などを考えます。

いくら上昇に対して優位性があるといっても、どこまで伸びてくれるのかはあくまで期待値であり、私たちトレーダー側では全くコントロールできない世界です。期待値を超えて大きくレートが伸びることもあり、目標としていた値に届かず下落に転じてしまうことも当然あるわけです。

利を大きく伸ばしていける局面・早目の決済を考慮すべき局面など、相場の状況に応じてリスクを把握する力はトレーダーの技術力に寄りますが、やはりどこまで伸びるのかは相場次第であり、明確なレートの天底は誰にも分かりません。

 
それに対して、撤退するべき損切りラインはどうでしょう。損切りラインは、過去のチャートから明確に決定することができ、かつトレーダー側で唯一自由に決めることができるものです。それにより、撤退による損失リスクを明確に把握することができるため、得られる利益の期待値との関係であるリスク/リワード比を考慮したトレードが可能になります。

優位性の高いところだけでトレードを繰り返し、1回1回のトレードのリスク/リワード比が高ければ、たとえ一時的に負けトレードが続いたとしても、トータルで資金は勝手に増えていくことになりますね。

逆にリスク/リワード比を考慮していないと、例え一時勝ちトレードが続いても、次の1回のトレードでそれまでの利益を吹っ飛ばす可能性もあるわけです。

 
ただし、リスクを把握し損失を抑えるのが重要だとしても、やみくもにちょっとした逆行で小さな損切りを繰り返していては、資金を増やすことはできません。俗にいう、損切り貧乏になってしまいますね。

「ここを超えたら、思惑とは逆方向に更に伸びてしまう可能性が高いライン・思惑方向に伸びる優位性がなくなるライン」が的確な損切りラインであり、そこを見出し実際に損切りを行うのが「負ける技術」です。

1-2.固定pips・資金量から算出する損切り幅に根拠なし

正しい損切りラインと間違った損切りライン

一般的な書籍や投資サイトで、よく見かける損切り方法として紹介されているのが固定pipsによる損切りですね。各通貨ペアの一般的なボラティリティを考慮して、ドル円なら何pips・ポンド円な何pipsで一旦損切りしましょう!などと紹介されています。

しかしながら、比較的値幅の大きい通貨ペア・小さい通貨ペアがあるにしても、相場のボラティリティはその時々によって変化します。そのpipisだけエントリー後逆行すれば、レートはそのまま逆行する可能性は高くなるのでしょうか。思惑方向へその後伸びる優位性は、失われてしまうのでしょうか。

まだ伸びる優位性がしっかり残っているのにも関わらず、固定pipsによる損切りに固執してしまうことで、せっかくの大きな利益を逃してしまうことにも繋がります。

 
また、資金量の何%の損失を超えたら一旦損切りしましょう!というのも、よく見かける損切り方法ですね。資金量的に大丈夫であれば、明らかに優位性が失われていても・トレンド転換のサインが出ていても耐え続けるのでしょうか。

これらの損切り方法は、全く相場を理解していないと言わざるを得ず、リスクとリワードを的確に把握してトータルでプラスを目指すトレードにおいては、致命的であると私は考えています。

1-3.エントリーポイントと損切りラインはセットで考える

エントリーポイントと損切りラインとの関係

1回1回のリスク/リワード比が重要になるトレードにおいて、エントリーの際に損切りラインが把握できていないのは致命的です。エントリーの際には、リワードである利の期待値(基本は意識されやすい前回高安値)とリスクである損切り幅(基本は直近高安値)を把握することが大切になりますね。

上図は、上昇トレンド中に一旦の押し目を築いて、しっかり安値を切上げてから高値を更新してきたポイントでのエントリーを考えた局面の模式図です。

上図の左では、リスクに対してリワードが数倍期待できる局面であり、次の上昇への優位性も高いエントリーポイントとなるので、買い注文を入れても良い局面となりますね。しかしながら、上図の右では、同じような局面でもリワードに対するリスクが非常に高いために、上昇への優位性があっても買いエントリーはできません。

上図の右で買い注文を入れたとしても、もちろん思惑通りに上昇してくれることはあります。しかしながら、このようなトレードをしている限り、数十回・数百回といった長い目で見たときのトータルとして、資金をプラスにするのは非常に難しくなります。

 
上図の左のような優位性の高く、リスクに対して大きなリワードを期待できる局面でのみトレードを繰り返すことで、確実に資金をプラスにもっていくことができるのです。

2.損切りラインの基本は直近の高安値ライン

損切りラインの基本は、そこを抜けると思惑とは逆方向に伸びてしまう可能性が高いライン・思惑方向に伸びる優位性がなくなるラインです。もう少し簡潔に言えば、そこでエントリーした根拠が崩れてしまうラインですね。

エントリーの際に、そこで注文を入れた根拠が何もなく、ただ感情と期待で伸びそうだから。などの理由でトレードしていると、損切りラインも当然決めることができないためにリスク/リワード比も把握できず、それは単に期待だけのギャンブルになってしまいます。

 
根拠のある損切りの考え方にはいくつかありますが、基本は直近の高安値ラインとなります。安値を切り上げながら高値を更新し続ける限り上昇トレンド継続・高値を切り下げながら安値を更新し続ける限り下降トレンド継続という、ダウ理論をベースとした考え方ですね。

*ダウ理論については、記事:テクニカル分析の元祖ダウ理論!トレンドの継続・転換がまるわかり!?を確認してください。

ダウ理論による上昇トレンド・下降トレンド継続条件

安値を切り上げながら高値を更新してきたポイントという、今後の上昇に対して優位性のある局面で買い注文を入れたときに、レートが直近安値を下抜けてしまうと、ダウによる上昇トレンドの条件が崩れてしまい、上昇に対しての優位性が極端に落ちてしまいますね。

もちろん、その後再度上昇に向かう展開になることもありますが、買い注文を入れた上昇に対しての根拠が崩れ、上昇に対して優位性の落ちた局面で買いポジションを保有している理由はなくなってしまいます。理由がないのであれば一旦損切りにより手放し、再度買いに対して優位性が見出される局面でエントリーすれば良いことになりますね。

上昇ダウと下降ダウが崩れる条件

2-1.分かりやすい高安値には、損切り注文が溜まっている

このダウ理論をベースにした、直近高安値に損切りを入れるトレードは、その他多くの世界中のトレーダーが日常的に行っているため、分かり易い高値・安値ラインには損切り注文が溜まりやすくなります。

ある高安値のラインを抜けると、一気にレートが急伸する局面が多々あると思いますが、これはその方向に注文を入れたトレーダーだけでなく、その方向とは逆方向に伸びることを期待していたトレーダーの損切り注文を巻き込んでしまうからです。

*他のトレーダーの損切り注文を巻き込む動きについては、記事:逆行しないで!!一気に思惑方向に伸びるエントリーポイントが知りたい!?も確認してください。

多くの投資家が損切りの買い注文を入れている高安値ライン

■損切りの基本となる考え方解説動画

3.まとめ

ここで見てきた損切りの考え方は基本であり、実際のトレードで応用するためにはもう一歩進んだ技術も必要になってきます。

しかしながら、自分がエントリーした方向への優位性がなくなった局面で、固定pipisや資金量をベースにした損切りラインまで耐える意味がないことは、少し理解して頂けたのではないでしょうか。

 
リスクとリワードを把握し、そこをレートが抜けると逆方向に伸びる可能性が非常に高い損切りラインをしっかり設定することで、エントリー後にびくびくする必要もなくなります。少しぐらい逆行してきたとしても、その損切りラインを抜けない限り優位性が失われることがないことが分かっているためです。

かつ損切りにかかったとしても、それは予め想定できる・許容できる損失であって、その後の大きな損失を最小限に食い止めることができたと逆に自負できるトレードとなります。

勝ったトレードが正しく、負けたトレードが間違っているとは限りません。正しく負けるトレードも存在するということです。個人的には、的確なポイント・ラインでサッと美しく損切りできたトレードは、勝ちトレードと同じくらい嬉しいですね。

 
もう一歩進んだ損切りの考え方については、記事:損切り貧乏を脱出したい!?どこにも書かれていない適切な損切りラインの見つけ方!!も確認してください。