テクニカル分析

トレイリングで、一度手にした利益は逃がさない!?これが適切な決済ラインの移動方法!!

 
エントリーと共に設定した損切りラインは、一旦利益が乗ればトレイリングすることによって、決済ラインとして利用することが可能です。しかしながら、やみくもにトレイリングしても、その後の更なる伸びを取り逃がし、薄利でトレードを終えてしまうことに繋がります。

テクニカル的根拠のある節目に、決済ラインを引き上げ・引き下げていくことが大切です。

1.損切りラインについてのおさらい

適切な損切りラインの設定方法については、下記の2つの記事を確認してください。この先は、下記記事の内容が前提となります。

1.損切りの考え方の基本のき!?美しく負けるトレードがあることを認識しよう!!

2.損切り貧乏を脱出したい!?どこにも書かれていない適切な損切りラインの見つけ方!!

 
一律10pipsといった固定幅の損切りには、テクニカル的な根拠が全くなく、大きな利幅をみすみす取り逃がし勝率も大きく落とすことに繋がります。

損切りラインの本質的な意味としては、エントリーした際の根拠が崩れるラインであり、そこを抜けると思惑とは逆方向に伸びる可能性が高くなる(優位性がなくなる)ラインです。

したがって、エントリーに根拠がなく何となくであれば、損切りも何となくになってしまいます。全てが何となくのトレードで、「勝ち続ける」ことはできないのは明白です。

*引用文献:著書「維新流トレード術」より

上昇トレンド中に買いエントリーする時の損切りライン

2.トレイリングの基本的な考え方

トレイリングというのは、追いかけるという意味を持ち、レートの伸びに合わせて決済ラインを移動させていくことを指します。

エントリー後思惑方向にレートが伸びれば、あとは決済をどこで行うかを考えますが、エントリーと共に設定した損切りラインを適切なラインにトレイリングすることによって、一定の利益を確保することが可能になります。

 
しかしながら、引き上げ・引き下げる決済ラインが適切でないと、その後大きな伸びが期待できるのにも関わらずちょっとした値のブレで決済されてしまい、薄利で撤退してしまうことに繋がります。

また逆に、決済ラインをトレイリングしていなかったばかりに急な反発・反転に対応できず、それまでの利益を吹っ飛ばしてしまうことにもなります。

テクニカル的根拠のある適切な値に、決済ラインをトレイリングできるかどうかがポイントになります。

ダウに沿って決済ラインを引き下げるトレイリングの概念図

2-1.決済ラインは節目に引き上げ・引き下げる

決済ラインのトレイリングは、節目となるラインに引き上げ・引き下げるのが基本です。ここで言う節目とは、レートが何度も押えられ・支えられて強く意識されるレジサポラインと考えてください。

節目が強固に形成されるということは、そのラインを境として買い方・売り方の勢力が入れ替わると同意であり、そこを思惑とは逆方向に抜けると、そのまま大きく逆行する可能性が非常に高くなります(思惑方向にレートが伸びる優位性が失われる)。

したがって、そうした節目に決済ラインをトレイリングすることで、テクニカル的根拠を持って一定の利益を確保することが可能となります。そこを抜けると大きく逆行する可能性が高くなるラインであるなら、そこで一旦決済するべきというしっかりとした根拠をもつことが可能です。

*レジサポラインについては、記事:レジサポライン見逃してない??強力な抵抗線・支持線として、トレードが超ラクに!?も確認してください。

 
それでは、先程も示した下図のトレイリングの概念図を見て下さい。

節目となるラインに決済ラインをトレイリングする

上図は、過去のレジスタンスラインに押えられてダブルトップを形成、そのままネックラインをブレイクしてきたポイントで売りを仕掛けた局面ですね。この場合、損切りラインは当然ながら節目でもある直近高値の赤ラインとなります。

その後レートは、直近安値である(1)のライン(青線)を下抜けた後、一度反転してリターンムーブ・(1)のラインにしっかり頭を押えられてから再度下落に転じています。これで(1)のラインは、過去に一旦支えられ・この局面で押えられたことによってレジサポラインとなり、1本筋の通った強固な節目を形成したと認識できます。

これにより、エントリー時に設定した損切りラインを、節目となった(1)のライン(青線)にトレイリングすることが可能となります。この後レートが(1)のラインを上抜けると、下降ダウが崩れ、かつ短期的に買い方優勢のエリアに入ってしまい、売りに対する優位性が極端に低下することが分かります。

したがって、(1)のライン(青線)上に決済ラインをトレイリングしておくことは、テクニカル的にも非常に理にかなった行動であると言えます。

 
その後も(2)のラインのように、レートが節目を形成していく毎に、そこに決済ラインをトレイリングしていくことになります。

このようにトレイリングすることで、予想できなかった急な反発・反転があったとしても、根拠のあるライン上で一定の利益を確保することが可能となります。

3.実際のチャートでトレイリングを理解する

それでは実チャートを使って、実際にどのようにトレイリングを応用していくのかを考えていきます。

下図を見てください。ユーロ/ドルの1時間足で、チャートには短期・中期・長期の移動平均線・水平ライン・トレンドラインを合わせて表示しています。

ユーロ/ドルの1時間足チャートを使ったトレイリングの応用例

上図は、サポートラインに一旦しっかりと支えられてから安値切り上げ、そのまま高値を更新してきたポイントで買いエントリーした局面です。上向きの長期・中期の移動平均線が下から受けながら、サポートされるべきラインで支えられてからのトレンド転換で、非常に買いに対して優位性の高い局面です。

図の緑◯のポイントでエントリーした際、損切りラインは直近安値である図の緑ラインとなります。このライン上では、過去にも何度かレートが支えられているのも分かります。

 
エントリー後レートはしっかり上昇し、図中の(A)のポイントでダブルボトムをつけるように支えられているのが分かりますか。このライン上では、過去にも高値をつけてレートが押えられており、(A)で一旦支えられることでレジサポラインを形成したことになります。

(B)で直近高値を更新したことで、(A)でレートが支えられたことが確定するため、(B)を迎えた局面で損切りラインを(A)の直下にトレイリングすることが可能となります(上図参照)。決済ラインが切り上がったことによって、もうこのトレードで損失が出ることはなくなりました。

ユーロ/ドルの1時間足チャートを使ったトレイリングの応用例

また、損失を出すのが怖くて、一旦レートが思惑方向に伸びた後、損切りラインをエントリーポイント付近にすぐに引き上げる方がいます。そんな根拠のないトレイリングをしていると、図中の(C)のようにちょっとした下ヒゲに引っかかって薄利・薄損撤退することになり、その後の利益をみすみす逃してしまいます。

このようなトレードは絶対にやめてください。損切りラインは、テクニカル的に根拠のあるライン上に設定しているのですから、そこを抜けるまではポジションを保有し続けるのが基本です。

上図のように節目上に決済ラインを引き上げていくことで初めて、テクニカル的な根拠をもってレートを追いかけていくことが可能となります。何pips上昇したらトレイリング、というのも全くナンセンスなことが分かると思います。

 
それでは、その後の動きも見てみましょう。

節目を形成する毎に決済ラインをトレイリングしていくことの重要性

その後もレートは、しっかりと上向きの中期の移動平均線に支えられながら上昇し、(D)のポイントで直近で高値を2度つけたラインに支えられて、レジサポラインを形成しています。

したがって、(E)で高値を更新することで(D)の安値が確定するため、(E)の局面で決済ラインを(D)直下にトレイリングすることが可能となります。

しっかりとした上昇トレンドが継続していますが、このように決済ラインを引き上げていくことで、一定の適切な利益を確保することができます。

 
さらに、その後の動きも見てみましょう。

トレイリングを使って一定の利益を確保する決済方法を解説した実チャート

その後も大きく上昇した後、目標となるレジスタンスライン手前で2度同値で高値をつけた後、高値を切り下げながら短期のトレンドラインを割ってくる(F)は、ひとつの決済ポイントになります。

しかしながら、依然として中期の移動平均線・主要トレンドラインには支えられているため、まだポジションを保有することは可能です。(F)で一旦半分決済して、残りを伸ばすというトレードも良いと思います。

 
また、(F)の直後にレートがダブルボトムをつけて支えられて、この安値ラインがレジサポラインをしっかり形成したため、ここに決済ラインをまたトレイリングすることが可能となります。

ここまで決済ラインを引き上げることができれば、あとは目標としていたレジスタンスラインを上抜けることができるかゆったり待っても良いですね。

または、目標となるレジスタンスラインに到達後、高値を切り下げながら主要トレンドラインを下抜いて、横ばいになった中期の移動平均線をも下抜いた(G)で決済というトレードができると思います。

4.まとめ

このように、エントリーと共に設定した損切りラインを、レートが節目を形成する毎に決済ラインとして引き上げ・引き下げていくことで、テクニカル的に根拠のある適切な利益を確保することができます。

固定幅のpipsでトレイリングしたりすると、ちょっとした値のブレにかかってその後の利益を取り逃がすことにも繋がります。

そこを逆に抜けると、思惑とは逆方向に伸びる可能性が非常に高くなるのが節目ラインであるため、そこに一旦の決済ラインを設定することは非常に理にかなっているわけです。

 
夜中にトレードすることが多い方などは、このように決済ラインを適切にトレイリングできたのを確認してからベッドに入ると、根拠をもった利幅を確保しながらゆったり眠りにつけると思います。